今年に入って、新しい「出力抑制ルール」が発表されて以来、
急速に金融機関からの融資が厳しくなったことは皆さんも
ご存知のことかと思います。
金融機関からすれば、
どれだけ抑制がかかるかわからない
⇒正確な売電量の予想が立てにくい
⇒精度の高い事業計画が立てられない
⇒融資できない
ということになります。確かにそうだと思います。
そのことを知ってか、JPEAが出力抑制シミュレーションをしたようです。
思っているよりは、抑制がかからないような雰囲気ですが、
しかし、これだけの資料では、おそらく金融機関を説得する材料には
ならないと思います。
例えば、政府や電力会社が公式に
「この地域の、この出力の発電所は○○年までは抑制がかかりません」
「抑制がかかる場合も、実際は最大○%です」
等のような見解が出ないと、厳しいですよね。
(以下引用)
一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)は、太陽光発電導入にあたってその事業性を検討する上で大きな要素となる系統接続制約問題の影響度を判断するための情報提供を目的に、九州電力、東北電力、中国電力の「出力制御シミュレーション」を実施した結果を発表した。
3社以外の指定電気事業者、北海道電力、北陸電力、四国電力、沖縄電力におけるシミュレーション結果についても順次公開する予定。
今回発表した出力制御シミュレーショングラフは、電力会社別/想定ベースロード等電源容量別に、系統接続量の増加に対して想定される年間発電電力量の抑制率推移を表したもので、出力制御がない場合の年間発電電力量に対し出力制御により抑制される年間電力量の割合を示している。
さらに、適用される出力制御のルールが異なる(30日ルール、360時間ルール、指定ルール)対象設備別にグラフを作成している。
また、JPEAは、現時点での設備認定量と導入量推移実績をもとに、系統接続量が3社から報告された「接続可能量」、およびグラフ横軸右端に示された系統接続量に到達すると思われるおおよその時期を以下の通り推定している。
「接続可能量」に到達すると思われるおおよその時期
- 九州電力/817万kWで2017年頃
- 東北電力/552万kWで2020年頃
- 中国電力/558万kWで2022年頃
系統接続量に到達すると思われるおおよその時期
- 九州電力/1,300万kWで2021年
- 東北電力/850万kWで2030年頃
- 中国電力/850万kWで2030年以降
JPEAは「出力制御シミュレーション」の目的や考え方等について以下のように説明する。
「出力制御シミュレーション」検討の背景・目的
固定価格買取制度(FIT)の施行により、再生可能エネルギー、中でも太陽光発電の設備認定量が急増し、昨年秋には電力会社が系統接続申し込みへの回答を一時的に保留するという事態となった。この事態を打開するための施策の一環として、東京電力、中部電力、関西電力を除く電力7社を「指定電気事業者」とし、従来の上限枠(30 日)を超える「無制限・無補償の出力制御」を条件として系統接続を受け入れる方法(指定ルール)をとることで、系統接続が再開されることとなった(2015年1月22日省令改正)。
一方、「無制限・無補償の出力制御」という表現は、見込まれる発電事業収益に対して非常に大きくかつ予見性のないリスクを想起させるものであり、その影響に関する具体的な試算データがないことも相まって、今後新たに設置を考える事業者やそれを資金面で後押しする金融機関等の関係者の事業マインドを過度に冷え込ませる状況ともなっている。
そこで、今後新たに設置を検討される事業者等が、「無制限・無補償の出力制御」によるリスクを踏まえた事業性を自らが判断するための情報提供を目的として「出力制御シミュレーション」を行った。
「出力制御シミュレーション」の考え方
本シミュレーションは、以下の三つの要素情報をもとに試算されている。
電力需要実績
各電力会社より公表されている2013年の時間毎(24時間×365日=8,760時間)の電力需要実績値
ベースロード等電源容量
経済産業省 総合資源エネルギー調査会 新エネルギー小委員会の第3回系統ワーキンググループ(平成26年12月16日開催)配布資料に記載されている各電力会社におけるベース電源(一定量の電力を安定的に供給する電源 = 流れ込み式水力、地熱、バイオマス、原子力)容量値合計から地域間連系線活用による容量値を差し引いた数値
※電力会社の枠を超えて日本全体で最も効率的に再生可能エネルギーを受け入れる観点から、地域間連系線を活用しての広域的な系統利用の方策が今後検討されることになっている。本シミュレーションにおいてはこの要素は「ベースロード等電源容量」に包含する概念とし、将来的に広域的な系統利用が可能となれば、その分この数値が減少するとしている。
系統接続量(太陽光発電導入量)
今後の太陽光発電導入量増加に伴う系統接続量の累積値
- グラフ横軸左端の始まりの数値(九州電力403万kW、東北電力124万kW、中部電力163万kW)は、2014年11 月現在での太陽光発電系統接続量を示す。また、グラフ横軸中央の数字(九州電力817万kW、東北電力552万kW、中部電力558 万kW)は、経済産業省の第3回系統ワーキンググループ配布資料に記載されている各電力会社から報告された「接続可能量」を示す。
- 「500kW以上設備/30 日ルール」「10kW以上設備/360 時間ルール」と「10kW以上設備/指定ルール」の出力制御割合については、「500kW以上設備/30 日ルール」「10kW以上設備/360 時間ルール」の出力制御日数及び時間が上限に達するまでは、極力同等の出力抑制率となるよう制御が行なわれるものとしている。
- 360時間ルール及び指定ルール適用による出力制御は、時間単位の一律制御を前提としている。また、「10kW未満設備/指定ルール」については、他のすべての太陽光発電の発電を制御した上で、最後に出力制御を行なうこととしている。
- 九州電力と東北電力においては既存の接続申込量で「接続可能量」を超過しており、360時間ルールの対象案件は想定されていない。中国電力においては当面360時間ルールが適用され、接続申込量が「接続可能量」超過後に指定ルールの適用が開始される。
以上です
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