太陽光パネル大量廃棄問題”は技術で解決可能

今日、こんな記事が日経関連のサイトから発信されていました。

最近、太陽光についてはネガティブな記事ばかりなので、

何だか少しホッとしました。たまにはこういう記事も欲しいですよね。

私は素材について専門ではないので、この内容が100%正しいかは

判断できないのですが、読んでおいて損はないかと・・・。

ほとんどの太陽光関係者は真面目にやってますが、一部の問題ある業者の

ために、太陽光まとめて悪者扱いされていますよね。

【以下引用】

最近、全国に設置されている大量の太陽光パネルが寿命を迎えた場合の対処問題に対する懸念を多く聞くようになってきた。処理能力を超える量の廃棄パネルが出てくるのではないか、発電性能が落ちたメガソーラーを業者が放置、あるいは不法投棄して逃げてしまうのではないか、太陽光パネルに有毒物質が含まれていて環境を汚染するのではないかといった懸念である。つい数日前にも、NHKが「ビジネス特集 太陽光パネル“大廃棄時代”がやってくる」という番組を放映した。

こうした懸念に対して、筆者の知る限りではあるが、太陽光発電事業者の多くは真剣に向き合おうとしている。「太陽光パネルの墓場のようなものをつくってはならない」が、真面目な事業者の間では共通認識になっている。太陽光発電に対する悪い印象が広がれば、事業の長期的な継続が難しくなることを理解しているからだ。

ただし、自然の山林を伐採して治水や土砂の流出対策もほとんど施さずに、パネルを設置するような事業者が存在するのも残念ながら事実。そうした事業者がきちんと“後片付け”をすることを期待するのは無理なのも確かだろう。山林を伐採するケースでは、たとえパネルを撤去しても、それだけでは現状復帰にはならない。

筆者としてはそういう事業者の参入は最初から制度設計で防ぐべきだったと考える。例えば、自動車の運転免許証のような制度を設けて、何か違反をすれば減点し、点数に応じて固定価格買取制度(FIT)の適用年数を減らす、などの工夫はいくらでもできたはずだ。

遅まきながら、資源エネルギー庁は、廃棄パネルの処理については、事業者に廃棄費用確保のための積立金を義務付ける制度を2022年7月1日に施行する。この制度ではFITの認定取り消しもできるようになる。

大量の廃棄パネルが出てくるのは現行のFITが始まった2012年から約20年後、つまり2032年以降になるはずなので、今のうちに積立てを義務化しておけば、問題の深刻化は防げそうだ。

パネルのガラスを割らずに分離して再利用可能に

パネルの大量廃棄問題には、業者が技術で対応する可能性も出てきた。例えば、産業廃棄を手掛ける浜田(大阪府高槻市)は、太陽光パネルの一部を再資源化する技術を開発し、既に実用化した(図1)。

図1 展示会で太陽光パネルのリサイクル技術を出展した浜田のブース
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図1 展示会で太陽光パネルのリサイクル技術を出展した浜田のブース
(出所:日経クロステック)

具体的には、パネルの太陽電池セルを覆っているカバーガラスや裏面の樹脂のシート(バックシート)を、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)で封止されたセル(セルシート)から分離する(図2図3)。この技術が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援の下でエヌ・ピー・シー(NPC)や浜田が開発した「ホットナイフ分離法」だ。これによって、パネルのコストの大きな割合を占める板ガラスを割らずに回収でき、ガラス原料として再利用できるようになる。

図2 浜田の「ホットナイフ分離法」の概要
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図2 浜田の「ホットナイフ分離法」の概要
(出所:浜田)
図3 ホットナイフ分離法で分離したバックシートとセルシートの様子
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図3 ホットナイフ分離法で分離したバックシートとセルシートの様子
(出所:日経クロステック)

また、セルシートはEVAごと破砕することで、配線に使われていた銅(Cu)や銀(Ag)などのレアメタル材料を取り出せるようになるという(図4)。

図4 浜田が破砕したセルの例
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図4 浜田が破砕したセルの例
(出所:日経クロステック)

セルの成分の大半を占めるシリコン(Si)の再利用は難しいというが、Siはもともと身近な“砂”の主成分で、環境を大きく汚す心配はない。

このリサイクル技術で、パネルの付加価値が高い部材を回収、再資源化できるようになったわけだ。廃棄するパネルに価値が出てくるなら、放置や不法投棄も大幅に抑制できるはずである。

既に浜田は2021年7月に太陽光パネルのリユースやリサイクル事業の認可を取得し、同年8月には京都府八幡市でリサイクル工場を稼働させた。

 

 

有害成分を含むパネルは1割以下

最後に、このパネルの大量廃棄問題を議論する際よく聞く、誤解を招く表現について触れておく。太陽光パネルには、廃棄処理の際に限らず、新規設置の際にもある種の誤解を招く表現がまん延している。それは、「太陽光パネルには、セレン(Se)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)などの有害物質が含まれているものがある」、という表現だ。例えば、資源エネルギー庁なども太陽光パネルの廃棄処理問題についての文書、その他あちこちで、こうした表現を無造作に使っている(図5)。

図5 太陽光パネル大量廃棄問題を解説する資源エネルギー庁のWebページの記述の例
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図5 太陽光パネル大量廃棄問題を解説する資源エネルギー庁のWebページの記述の例
(出所:同庁のWebページより)

これは間違いとまでは言えないものの、言葉の“精度”が低すぎる。これらの有害成分を含む太陽光パネルは確かにある。ただし、SeやCdを含む製品は、ある特定のメーカーの製品に限られ、日本に設置されている太陽光パネルの中で1割以下と推測できる。その定量的な感覚が、上記表現では伝わらない。

具体的には、Seを含む太陽電池は、これまでソーラーフロンティアが製造、販売してきた「CIS(Cu-In-Se/S)型太陽電池」である。ただし、同社は2022年6月末をめどにこの太陽電池の製造から撤退することを決めている。

ソーラーフロンティアがこれまでに製造したパネルは約6GW超。現在、日本には約70GWの太陽光パネルが設置されているので、6GW超がすべて国内に設置されたとしてもその割合は約9%となる。

一方、Cdを含む太陽電池は、メガソーラーに使われる製品としては事実上、米First Solarが製造するカドミウムテルル(CdTe)型太陽電池だけである。CIS太陽電池と技術的に近いCIGS(Cu-In-Ga-S/Se)型太陽電池は、Cdを含む製品が多いが、ソーラーフロンティアはCdを使っていない。Cdを含むCIGS型の太陽光パネルは日本ではメガソーラー向けにはほとんど販売されていないのである。

世界でほぼ唯一、CdTe型太陽光パネルを製造、販売するFirst Solarは日本法人を通じて日本にもメガソーラーを導入している。同社はその導入量を明示はしていないが、日経クロステックの集計では90MWは超えていない。その場合、割合は0.13%以下。CIS太陽電池と合わせても全体の10%を超えない。

メーカーが回収まで責任を取ると約束

もちろん単に少ないからよいというわけではない。これらの有害成分を含む太陽電池には製品化前から国際的に一定の批判があり、First Solarなどはその批判を受けて、廃棄の際にはパネルの回収にも責任を持つことを表明している(図6)。

図6 First Solarが2005年に発表した、パネル廃棄時の回収/リサイクルプログラム
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図6 First Solarが2005年に発表した、パネル廃棄時の回収/リサイクルプログラム
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図6 First Solarが2005年に発表した、パネル廃棄時の回収/リサイクルプログラム
左は米First Solarの資料、右は日本法人のFirst Solar Japan合同会社のWebページ (出所:各社)

これが口約束に終わらず、メーカーが実際にその約束を守るかどうかについては監視が必要かもしれないが、プログラムを履行する限りは、大きな問題にはならないはずだ。

これに対して、Pbは一般のSi系太陽電池にもはんだ材料の一部として広く使われている。ただ、それは電子回路基板を使うすべての製品に当てはまってしまう。これも最近はPbフリーはんだも一般的になっており、上述のリサイクルなどでパネルを適切に処理する限り、深刻な問題になるとは考えにくい。

やや例外として、今後、実用化が進みそうなペロブスカイト太陽電池はPbが発電に重要な役割を果たし、含有量もやや多い。このタイプの太陽電池については、CIS型やCdTe型と同様、利用者の追跡や廃棄時の回収プログラムが必要になるかもしれない。

SeやCd、Pbを含む太陽電池について正確に理解するには少なくともこうした説明が必要になる。それを省略してしまうと、一般のSi系太陽光パネルにもSeやCd、Pbが多く含まれているという誤解につながる。それは避けるべきことではないだろうか。

 

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2 Comments

kozo

yukiさん
コメントありがとうございます。
そうなって欲しいですよね。
同時に、ネガティブなところだけを突っつくのではなく、メリットをもっと報道して欲しいものです。

yuki2822

以前調査した時は、処理方法も処理会社によってだいぶ違いがある様子だったのですが、
変わってきてるのでしょうか。
処理費<<再資源販売価格
となって、都市鉱山化すれば良いんですが、
そのあたり、先駆者に頑張ってもらって、
拡大再生産して欲しいですね。

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