日経新聞も毎日新聞もみんな極端です。
この記事を何も知らない人がそのまま読むと「へぇ〜、太陽光の買取終わるんだ・・・ってことは電気代安くなったりするのかな?ラッキー」と思う人もいるはずです。
実際記事序盤には「コスト低減を進める」と書かれていますし記事終盤には「買い取りにかかっていたコストは大幅に削減できる見込みだ。」と書かれています。
ところが「これで家計を圧迫している電気代(電力付加金)は安くなりますよ」と書かれていませんよね。
1億円の借金がある「借金大好きhamasakiさん」は破産?
もし、電力付加金が安くなるのであれば、それは本当に固定価格買取制度の取りやめを意味します。
借金をして作った発電所は無くなりませんから僕はめでたくお手上げです。
自己破産をするか、銀行に担保をそのまま持っていってもらうかの二択になります。
ところがそうはならないんです。
この報道は決定的に文章が書けていて「制度変更以降に認定された発電事業は」新制度になりますよということなんです。
つまり、電力付加金は下がらないし、電気代も安くならないのです
なぜなら、すでに稼働済みの発電所、すでに認定済みの発電所、そして今の制度でこれから認定される発電所はこの報道の対象外(のはず)だからです。
この内容は経済産業省のワーキンググループである
経済産業省の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会
で議論されている内容を報道されたのかと思われます。
この報道が出た6月12日の2日前、6月10日に委員会が開催されています。
第15回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会
この日は過去の振り返りとしてこのような資料が出ています。
第13回(2019年4月22日開催)で議論されたFIT制度を抜本的に見直し、新たなモデル(FIP制度への移行)を検討すべきであろうと書かれています。
過去の振り返り資料ですね。
さらにこの日はIEA(国際エネルギー機関)よりパオロ・フランクル課長を招いてIEAからの意見を提言として発表してもらっています。
その資料の最後にもこのように書かれています。
(赤線部分浜崎)
要は大規模な制度改革をします(これはFIT制度開始時から2020年に大規模変更と言われていた)
で、それはこんな感じで考えてますよ(これも以前から言われていた)
という内容のみです。
つまり、この会では「全量買い取り制度の廃止」とは言っていません。「それをこれから検討しますよ。将来はその方向で」と言っているわけです。
そしてそれは昔っから一貫して言われてきたこと。
むしろ、この日の会では何も言われていないに等しいのです。
再エネ業界にいる人間からすると、日経新聞の報道した内容は「事実と異なる内容」です。
実際、この報道を受けて太陽光関連の株は値段を下げたそうです。
これは結構悪質な「風雪の流布」にあたります。
過去への訴求ができるかどうか これが既存発電事業者へのインパクトを決める
FIPという単語が出てきていますが、これは固定価格ではなく、プレミアム(つまり市場価格よりちょい高で買う的な)を意味しますから、日経新聞が記載していた図のことでしょう。
(日経新聞が書いたFIPの図)
で、これらの制度変更のポイントは「過去への訴求はできない」という点です。
つまり、稼働済み、認定済み、制度変更前の認定はFIPではなく、FIT(つまり今まで通り)で行くしかないと言うことを意味します。
これは法律の大原則である「過去への不遡及」と言うものです。
ということでhamasakiさんの事業めでたく保護されます。
よっしゃよっしゃ。
むしろ注意すべきは再エネ法第3条10項や撤去等費用の強制徴収
既存の事業者がむしろチェックすべきは
政府が20年の固定価格買取制度を反故にする方法「再エネ法3条10項」
このへんとか
撤去等費用をどう考えるか すでに積み立てている人はどうなる?
この辺ですね。
特にこのFIPに移行した後で、やっぱり賦課金が下がらないじゃないかとなると再エネ法3条10項を発動しようという議論が出なくもありません。
これをやるか、稼働中物件の認定取消をするしか賦課金は減らないからです。
ちょっと考えてみた もしFIT法が過去に訴求されたらどうなるか
考えてみましたが、、、
実は僕個人は恐ろしくないということに気がつきました。
いや、恐ろしいんですが、ある意味恐ろしくないというか、、、
もちろん訴求されないのが一番ですが、仮にそうなったら、、、
戦うべき味方を増やす方法はあるなと。
それはまた来週書こうと思います。
(書いてみました)
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