資源エネルギー庁の委員会の中に「電力・ガス取引監視等委員会」という組織があります。
その委員会の中に送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討ワーキング・グループというグループがあります。
以前のブログで要注意! 送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討ワーキング・グループの企みという記事を書いています。
今回はちょっと時間を使ってこの
送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討ワーキング・グループ
の議事録を読んでみました。
結論を言いますと
・すべての発電事業者(家庭から原発まで)に対し送電網使用量を負担させる
・事業コストをベースに売電単価が決められているFITの発電所も過去にさかのぼって課金させるべき
・課金方式はkWベースでの課金が望ましい
という議論がなされていました。
興味のある方は
第5回議事録 (説明者 一般社団法人太陽光発電協会 亀田事務局長)
を「再エネ」で検索しながら読んでみてください。
第5回の議論では事業者側のヒアリングとして太陽光発電協会の事務局長さんが出ています。
亀田事務局長は
私ども 太陽光発電事業者は、FIT制度のもと今導入を進め、コスト削減等の努力を進めている ところでございます。ということで、FIT制度により固定買取価格が保証された電源に ついては、経済性に一切影響しないことを大前提としていただきたいと考えております。
と説明されています。
ちなみにこの説明に対し 松村 敏弘委員( 東京大学社会科学研究所 教授)は
次にFIT制度について、基本的には既存事業者に不利になるようなことをやめてくれ というのは、事業者としてはもっともな主張ではあるけれど、その要望をすべて受け入れ ていたら、全体としての効率化は、およそほとんど何も進められなくなることを懸念して います。極端なことをいうと、炭素の排出に関連して、火力発電所ができた後で炭素税が かかってくる、あるいは石油石炭税が上がるということになったときに、私たちの収益性 に悪影響を与えるようなことは一切だめ。だから、少なくとも既設のものについては免税 してくれなどということを言うと、それによって炭素排出コストまできちんと内生化した 上で最適な設備形成、運用をしてほしいという政策意図に著しく反するわけです。
そういうことを考えていただいて、これは何も太陽光発電いじめ、風力発電いじめとい うことではなく、全体としてのコストを下げるためにやっていることで、結果的には不利 になることはあるかもしれないけれども、あくまで狙い撃ちにして不利にしているような ことではないということは御理解いただきたい。
もうのっけっから大否定です。
議論になってません。
これ、実施されたら間違いなく訴訟連発ですね。
特に外資のファンドは絶対に黙って無いはずです。
資本主義社会で国家が投資家を裏切ると言うことはかなりの悪。
一方でその前の第4回の議事録では当の村松委員がこのようなことを言っています。
私は、発電側が負担するのが原則だと思うし、FITの既設についても発電側が負担す べきだと思います。もしこれが難しいのだとすると、これは一旦発電側が負担したとみな して、それが小売側に転嫁されたとみなして、送配電事業者が買っている場合には、これ からの制度で、送配電部門が買っている部分については規制部門ですから、どの道、規制 価格という格好でちゃんと調整されるからいいと思いますが、小売が買っている部分につ いては、その課金部分を回避可能原価とみなして、kWに応じた回避可能原価を小売事業者 が負担するようにすれば、自然に転嫁したのと同じ状況がつくれますから、そのような格 好でやるべき。
今のようなFIT電源の普及の足かせになるからという説得力のない理由で、既設につ いては免除し、小売の方にも負担を求めないという筋の悪い政策にならないようにすべき だと思います。
つまり簡単に言うと「既存のFIT制度物件は一度売電事業者が負担しつつ、その後電力会社が再負担せよ」という話です。
これが通れば最悪何とかなります。
しかし一方で同じ第4回の議事録の中で
既設のものについて、そういうコストを織り込まないで、価格が決まった。それにして も十分高いのだから、それぐらい負担してくれと私は個人的にはそう思うのですが、仮に 既設のことを議論しているのだとすると、普及の足かせになることはそもそもない。もう つくってしまっているものですから。
こういったご本人の「本音」が出ています。
ここは要注意です。
ちょっと何かで儲けたからといって罰金。
これではチャレンジする意味が全くありません。
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