借金大好きhamasakiです。
パワコン交換の話をすると、たいていの人は「発電量が増えるかどうか」しか見ません。
でも実は、もう一つ大きなメリットがあります。
それが「代理制御から実制御(オンライン制御)への切り替え」です。
今回は仮定の数字ではなく、資源エネルギー庁が公表している東北電力管内の実際の数字で計算します。
まず「代理制御」と「実制御」の違いをおさらい
太陽光の出力制御には2種類あります。
代理制御(旧ルール・オフライン)
オンライン制御装置が付いていない古いパワコンが対象です。
電力会社が「この事業者グループは○%抑制」と机上で決めた比率を、実際に止まっているかどうかに関係なく発電量から一律に天引きします。
止まっていない時間帯も引かれます。
実制御(旧ルール・オンライン)
電力会社から実際に指令が来た時間だけ出力を止める制御です。
指令が来ない時間は普通に発電できます。
東北電力管内の2026年度見通しを見てみる
資源エネルギー庁の第6回次世代電力系統ワーキンググループ(2025年12月公表)の東北電力ネットワーク資料がこれです。
東北電力管内 出力制御率(太陽光)の推移
| 年度 | 旧ルール オフライン(代理制御) | 旧ルール オンライン(実制御) | 差 |
|---|---|---|---|
| 2023年度 | 2.06% | 0.33% | 1.73% |
| 2024年度 | 7.71% | 0.31% | 7.40% |
| 2025年度(1月公表) | 7.63% | 0.50% | 7.13% |
| 2025年度(9月公表) | 8.05% | 3.01% | 5.04% |
| 2026年度(12月公表) | 9.30% | 4.11% | 5.19% |
数字を見て気づいたことがあります。
2023年度に1.7%だった差が、2026年度見通しでは5.19%に拡大しています。
代理制御のままでいる事業者は、年々損失が大きくなっています。
これが「今すぐ動かないといけない理由」です。
田淵EPU-B-T99P-SCは代理制御対象
私の田淵パワコン(EPU-B-T99P-SC、2013年製)は、オンライン制御機能を持っていません。
つまり自動的に代理制御の対象です。
仕様書を確認すると通信インターフェイスは「RS-485(マスターボックス用)」のみ。
電力会社からの出力制御指令を直接受け取る機能がありません。
田淵が用意しているのはあくまで複数台を一括監視するための自社システムであり、電力会社の系統制御とは別物です。
旧型のパワコンを使い続ける限り、代理制御の天引きは避けられません。
実際にいくら損しているか
私の発電所で計算してみます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| システム容量 | 49.5kW(田淵9.9kW×5台) |
| 年間発電量(推計) | 約67,400 kWh |
| FIT単価 | 40円/kWh |
| 年間売上(制御なし) | 約2,696,000円 |
代理制御(9.30%)のままだと
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 年間制御損失量 | 67,400 × 9.30% | 6,268 kWh |
| 年間売電損失 | 6,268 × 40円 | 250,720円 |
実制御(4.11%)に切り替えると
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 年間制御損失量 | 67,400 × 4.11% | 2,770 kWh |
| 年間売電損失 | 2,770 × 40円 | 110,800円 |
差額(代理制御→実制御で回収できる額)
| 項目 | 年間 |
|---|---|
| 制御損失の差 | 3,498 kWh |
| 売電収入の差 | 139,920円/年 |
約14万円/年の違いです。
FIT残年数が10年あれば、それだけで約140万円の差になります。
パワコン交換によるダブル効果
今回の田淵→HUAWEI交換では、発電量増加と制御方式切り替えが同時に起きます。
第1の効果:変換効率向上による発電量増加
新潟の気象データを使ったシミュレーションで、年間+3,975 kWhの増加が見込まれます。
FIT 40円で**+159,000円/年**。
第2の効果:代理制御→実制御切り替えによる損失回収
東北電力の実データ(9.30%→4.11%)を使うと**+139,920円/年**。
| 効果 | 年間金額 |
|---|---|
| 発電量増加(効率向上) | +159,000円 |
| 制御方式切り替え | +139,920円 |
| 合計 | +298,920円/年 |
合わせると年間約30万円の改善です。
FIT残年数10年なら、10年間で約300万円の差になります。
見落とされがちな「2026年問題」
東北電力管内での代理制御率の推移を改めて見てください。
- 2023年度: 2.06%
- 2026年度: 9.30%
3年間で4.5倍になっています。
再エネの導入量が増えるほど、出力制御の頻度は上がります。
そして代理制御は「実際の制御量より多く引かれる」仕組みなので、制御が増えれば増えるほど代理制御事業者の損失は膨らみます。
一方、実制御は「実際に止まった時間だけ」の損失なので、代理制御ほど膨らみません。
この差が今後さらに広がっていくことは、エネルギー庁の数字を見れば明白です。
HUAWEIに換えると実制御が使える
HUAWEI SUN2000-4.95KTLはRS-485通信とWi-Fiを標準搭載しています。
FusionSolarクラウドを経由してリモート制御が可能で、電力会社からの指令を直接受け取れます。
パワコンを交換すれば、技術的に実制御への切り替えが可能になります。
まとめ
代理制御のままでいることのコストは、年間約14万円です。
しかも東北電力管内では毎年その損失が大きくなっています。
パワコン交換の話になると、多くの人は変換効率だけを見ます。
でも制御方式の変更まで合わせると、年間30万円、10年で300万円の話になります。
旧型の田淵パワコンが残っている発電所は、2つのコストを同時に払い続けています。
借金大好きhamasakiでした。
出典
経済産業省 第6回次世代電力系統WG 参考資料1-2「2026年度出力制御見通しについて(東北電力ネットワーク)」
- « 前の記事へ








コメントを残す