案外知られていない!太陽光発電のパワーコンディショナーの保証の本当のところ

昨日は太陽光パネルの保証について解説しました。

出力保証と製品保証ってなんだろう?
保証が付いていれば安心なのか?

というところを詳しく解説しました。

読んでいただけるとわかると思いますが、実は発電事業を続けるという上ではメーカー保証はそこまで重要ではありません。

むしろ融資適格性をあげるためにあると考えたほうがいいと思います。

 

さて、本日はパワーコンディショナー(以下パワコン)の保証についてです。

パワコンの保証はどうなっているか?

パワコンの保証は製品保証です。
低圧用パワコンの場合、大きく分けて2つの方向性があります。
5.5kW近辺の単相パワコンと10kW近辺の三相パワコンです。

単相パワコンは家庭の屋根向けのものが多く、保証も手厚いものが多くなっています。
特に国内メーカーは手厚い保証が付いています。

たとえば山洋電気の5.5kWパワコンは無償で10年保証が付いてきます。

SMAはドイツメーカーですが、工場出荷時で10年の保証が付いています。有償の延長保証を入れると20年の保証が可能なメーカーです。

一方三相はというと、、、これは1年〜5年の初期保証がついていて、そこからの延長は有償というメーカーが多くなっています。

太陽光発電ムラ市場

ここで問題になるのは保証の中身

実はパワコンの保証は大きく分けて2種類あります。

それは故障が確認された時に実際に現地にメーカーが入って修理、交換をしてくれるオンサイト保証と、パワコンメーカーが現品を送ってくれる現物保証です。

一般的に国内メーカーはオンサイト保証が多いです。

「一次対応」というエラーコードの取得や異常状況の把握といった部分までをオーナー側が行い、異常の情報を伝達します。

そこから先は状況を把握したメーカーが修理・交換をやってくれるというパターンです。

仮に修理交換し、現物を持ち帰った後、故障理由がメーカー責任でなかった場合は修理費用を請求されます。

たとえば落雷による基盤故障などはメーカーの責任ではありませんから後で請求書が来ることになります。

一方で現物保証はというと、、、同じように一次対応をオーナー側が行い、原因をメーカーが推測し交換対応だと認識した場合はメーカーがパワコン本体を送ってくれます。

しかしそこから先の交換と取り外したパワコンの送り返しはオーナー側の責任になります。

また、メーカー側で検証した結果「メーカー責任ではない」と判断された場合はオンサイト保証と同様に交換費用を請求されます。

無償で10年のオンサイト保証が付いてくる山洋電気単相パワコンの泣き所

自社で管理している岩手県滝沢市のアテルイの里は10年のオンサイト保証がついているということでとてもいいパワコンです。

しかし、実は工場出荷時の保証は1年なのです。

そこから工事業者(つまり僕たち)がパワコンの工事報告を行い、工事写真やシリアルナンバーの写真を貼った報告書を出し、メーカーに認められてようやく10年の延長保証が受けられます。

1区画9台、30区画で270台ですからはっきり言ってとても大変です。

さらに、発電所を運営する上で結構大変なのがパワコンの蓋を閉じるビスです。

山洋の5.5kWパワコンは防水性がとても優れていて故障が少ないのですが、パワコンを開ける時に10本のビスを取り外す必要があります。

田淵電機の9.9kW三相パワコンは2本です。オムロンパワコンは3本です。

1区画あたりで比べても

田淵電機 5台でビス10本
オムロン 9台でビス27本
山洋電気 9台でビス90本

確かに防水性が高く、保証が手厚いのは魅力ですがこれだけのビスを取り外し、検査し、再びつけるのは結構な作業。

業者泣かせなパワコンではあります(涙
しかしその反面、保証対応はしっかりとやってくれます。

これだけ防水性能が高ければ確かにそれくらい保証しても問題ないのでしょう。
アテルイの里では270台のパワコンのうち、最初の1年間で2台の交換がありました。

2台ともメーカー側でしっかりと対応してくれています。

三相PCSで合理的な保証体制なのはどこだ?

ソーラーエッジは工場出荷時で12年保証、有償で8年の延長保証があります。

つまり20年の保証が可能です。

これはなぜか。

パワコンには2つの機能があります。

1つは直流(DC)を交流(AC)に変える AC/DC変換機能。

直流である太陽光パネルの電気を交流で運用されている送電網に乗せるための機能です。

もう一つはパワコンから最大電力を効率良く取り出すMPPT制御機能です。

田淵電機はマルチストリングMPPT(5入力、5MPPT)、山洋電機5.5kWは1つのパワコンに4つの入力がありますがMPPTは2つです。(1MPPTあたり2入力)

MPPT単位でパネルの直列数を揃える必要がありますから、マルチMPPTであればそれだけ狭いところでもパネルを設置しやすいと言えます。

 

ソーラーエッジの保証が手厚い理由

ソーラーエッジはパワコン側でMPPT制御をすることをやめ、パネル側に「オプティマイザー」という装置を取り付けるシステムにしています。

パワコンはAC/DC変換のみを行うわけです。

パワコンの役割がシンプルになるので当然手厚い保証が可能になります。

MPPTを行うオプティマイザーはパネル2枚ごとに1つつけていく形です。

オプティマイザには20年の保証が付いているので仮に故障してもメーカー保証を受けることができます。

 

ただし、これらは現品送りつけ型の保証になります。

修理交換はオーナー責任です。

 

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