資源エネルギー庁のワーキンググループ「調達価格等算定委員会(第35回)」が1月19日に開催されています。
固定価格買取制度の根幹をなす買取単価を決めているこのワーキンググループ。
毎年この時期は業界の注目を集めています。
この日の爆弾発現は小型風力!!!盛大な梯子外し!!!
(資料2 風力発電・地熱発電・中小水力発電について(事務局資料)(PDF形式:2,254KB))を読んでみるとびっくりです。
14pと15pです。
「昨年度の委員会において、(略)あらかじめ3年間の調達価格を定めないこととした」
からの次のページでは
「一般的な用途としてはFIT制度からの自立かは困難と考えられるのではないか」
とし
「55円/kWhといった高価格での新規認定を行い続けることは適当とは言えないのではないか。(略)20kW以上の風力発電とどう区分としてとり扱うこととしてはどうか。」
と華麗にまとめられています。
小型風力発電という謎の区分
そもそも問題だったのは20kW以下という謎の区分。小型風力というマーケットはこの謎の区分で生まれた日本独自のマーケットでした。
風力発電は風車の直系の2乗に比例します。
風車の直系が半分に成ったら取り出せるエネルギーは4分の1。直系が4分の1に成ったら取り出せるエネルギーは16分の1です。
当然大きければ大きいほど圧倒的に有利になります。
この点が低圧太陽光との違いです。(太陽光は面積に比例)
一方で風力発電所は大きなものを立てようとすると環境アセスメントや連系協議などで多くの時間を必要とします。
その分を埋め合わせるために単価の高い小型という区分を作ってスピードアップしようとしたのでしょう。(浜崎推測)
このまま決まってしまうと困るのは誰か?
風車の代理店や風力発電でこれからビジネスをしようと思っていた方はそれこそ梯子を外された状態になっています。
なにぶんこのマーケットにチャレンジしたメーカーはほとんど海外メーカーです。
国内のメーカーは結局経済産業省の認定が取れず、撤退しています。
なにぶん開発した風車を経産省に認定してもらうまでに20ヶ月かかってしまうような状況。
国内メーカーがチャレンジできなかったというのもよくわかります。
国内の代理店や業者は海外のメーカーに契約、研修とコストをかけて体制を作っています。
そのコストはもう帰ってきません。
さらに損害を被るのは日本の市場に売り込もうと商品開発をしてきた海外の風車メーカーです。
開発投資が完全に無駄になってしまいます。
日本政府を信用して日本市場でビジネスをするために投資してきたわけです。
事業が破綻するメーカーも出てくるでしょう。
そのメーカーに勤めるスタッフには当然家族がいるはずです。
「お父さんの会社は日本のせいで潰れてしまった」
ということも十分あり得ます。
今後海外企業が日本の市場をどう見るかは想像がつきますよね。
なぜ小型風力発電の導入量が伸びず、コストが下がらなかったのか
委員会の資料では「売電単価が下がらないからコストが高止まりしていて・・・」と言ったことが書かれていました。
逆になぜ太陽光発電のコストが半分に下がったのか考えてみるとよくわかります。
これはスワンソンの法則と呼ばれる学習効果によるものが大きいと言われています。
スワンソンの法則は太陽光版の「ムーアの法則」です。
「太陽電池の生産量は2倍になるごとに生産コストが20%減少する」というものです。
果たして小型風力発電はどれだけの市場があり、どれだけの生産量があったのでしょうか?
日本独自のマーケットを作ってしまってはメーカーにも施工者にも学習効果が働かずコストが落ちないのは当然のこと。
果たして本当にこのまま来年の小型風力は消滅してしまうのか?
風車のサイズを倍にすればエネルギーは4倍になるわけです。
例えば20kW以下の今の区分を50kW以下にするだけでかなり改善されるはずです。
このまま梯子を外し、国内の業者・投資家、海外のメーカーを捨てるのか。
それとも別の道を探るのか。
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