50kW太陽光発電用パネル探訪記 ソーラーフロンティアさんに行って来ました 2013年5月20日 (カテゴリ: ●太陽光パネルメーカー全調査!) ツイート 50kW太陽光発電所向けパネルメーカー訪問記第一弾としてソーラーフロンティアさんに行ってお話を伺って来ました。 私が帯広で計画している太陽光発電所のパネルもソーラーフロンティアを選びましたし、学生の頃に神奈川県厚木市にある研究センター(当時は昭和シェル)にも見学に行ったことがあったので何となく親近感を感じています。  お台場海浜公園駅徒歩3分にある本社から撮影。眺めが良くて気持ちがいいんです。 パネルメーカー各社にメールを送って一番最初にご連絡を下さった広報のTさんにお話を伺いました。やはり注目が集まっているせいか非常に忙しいようですが非常にイキイキしていました。 以下、伺ったことを整理して記載していきます。 【基本情報】 ソーラーフロンティアは昭和シェルの100%子会社で、CISの太陽光パネルの生産を販売をしています。元々、海外に向けて太陽光パネルを売りだそうとしている会社ですが、日本での需要が高まりすぎて現在はほぼ国内向け出荷が中心となっており、上期の生産分は全て予約済み。 生産は全て宮崎県。国内各地販売拠点の他にアメリカ、ドイツ、そしてサウジアラビアにも拠点があるます。これは親会社である昭和シェルの第二の株主がサウジアラビアにあるサウジアラムコ社である事から設けられているそうで中東、アフリカ地域にも既に参入しています。 【太陽光発電事業の歴史】 1978年のオイルショックをきっかけに太陽電池の研究開発を始めた昭和シェルは1993年からCIS太陽電池の研究開発の乗り出します。CISの研究を初めてちょうど今年で20周年ですね。 そして2005年にCIS太陽電池の事業化を決定し、2006年には昭和シェルソーラー社を設立。2007年には宮崎県に第一工場(生産能力20MW/年)を、2009年には第二工場(60MW/年)、2011年に国富工場(900MW/年)の稼動が開始。現在の生産量はほぼ1GW/年です。 ちなみに生産量で世界一位となったインリーが2.45GW。1GWだと世界順位では20~30番あたりになります。業績好調のソーラーフロンティアなら大丈夫でしょうが、上位の20社のうち、何割が来年も残っているかは・・・・。 【CIS太陽電池の特長】 CIS太陽電池の特長はなんといっても本番に強いこと。ソフトバンク社が行った各社パネルの比較実験結果が公開されています。 太陽光パネルの出力測定試験がCISには不利になっているため、同じ1kWでもシリコンのパネルにに比べて年間発電量が9%~37%ほど高くなります。噂には聞いていましたが数値を実際に目にすると驚きますね。 温度上昇に強いこと、反射光の波長域の光を拾いやすいこと、結晶系と違って面全体が受光部となるため、陰に強いなどの特性を持っています。 ソーラーフロンティア以外にもCISを作っている会社はありますが、大量生産技術がやはりいちばんの強み。生産技術というと簡単に真似が出来そうですが、どんなに優れた製造装置でも最後は使う技術者の腕にかかっています。職人の技術と一緒ですね。 ちなみに工場長さんは自らを焼き物師と名乗っているそうです。最終工程におけるアニル(加熱処理)の温度だけでも生成物の色が全く違うとか。 また、組成や製造方法の変更でさらに効率化が進められているのも大きな特徴の一つです。コストは同じまま効率を上昇させることの出来る余地がまだまだあるため、更に価格競争力はついてくる可能性があり、企業としての成長性、継続性も十分期待出来ますね。 これなら株を買っておこうと思ったのですが、公開していないため買えるのは親会社の昭和シェル株まで。それでも十分魅力的にうつりましたが、太陽光発電まにあとしては発電所そのものを優先させてなければなりません。 さらに薄膜なので加工がしやすいためフレキシブルなパネルや外壁材として使えるパネル、また、シースルーの窓に付けられるタイプのパネルも研究が進んでいます。 【CISパネルとソーラーフロンティアの未来】 あえてソーラーフロンティアのCISパネルの短所をあげるるとしたら資源の量です。CISはCopper(銅)、Indium(インジウム)、Selenium(セレン)の頭文字をとったもの。銅はともかく、インジウムもセレンも地球上に資源量が限られているため、無限に量産できるものではありません。 このあたりは当然、対策を考えていてパネルのリサイクルを推進しているそうです。元々EPT(エネルギーペイバックタイム、パネル製造時に投入したエネルギーを発電によって回収できるまでの時間)が0.9年のCISパネル。リサイクル化によってさらにEPTが短くなりそうですね。ちなみにシリコン結晶系のEPTは2年前後と言われています。 ソーラーフロンティアは太陽光パネルを製造しているメーカーの中で唯一、純粋なエネルギー会社として存在しています。オイルショックの時から36年間、代替エネルギーについて本気で取り組んできた同社の取り組みは、日本版FITでさらなる追い風にのり、さらに世界で躍進しようとしています。 先日は欧州リース会社大手のユニクレディットリースよりバンカビリティ(投資適格性)も認められました。プロジェクトファイナンス中心の欧州のメガソーラーにおいて今後、かなり有利に働くことになりそうです。 オイルショックの時に当時の通産省が立案したサンシャイン計画から始まったソーラーフロンティアのCIS事業。ぜひ日本人に応援して欲しい技術だと熱く語ったTさんの言葉が印象的でした。 話を伺う前から好きでしたが、やはり直接お話を聞くと余計にファンに成ってしまいますね。Tさん、大変勉強になりました。ありがとうございました。 « 前の記事へ 次の記事へ » ツイート 関連記事 50kW太陽光発電とパネルメーカーの経営状況 50kW太陽光発電を導入しようとする時に どうしても気になるのがパネルメーカー。 20年、25年の保証がついていたところで メーカーが倒産 記事を読む REC社のパートナーイベントに参加してきました ノルウェーのパネルメーカーであるREC Solar Japan社のパートナーイベントに参加せていただいました。 実はRECのパネルには以 記事を読む 太陽光パネルメーカー各社に面談を依頼してみました。 50kW太陽光発電所に使いやすい パネル情報を集めると宣言して このテーマを作ってから二ヶ月近くがたちました。 楽しみにしていてくださった 記事を読む ノルウェー生まれの技術の実力とは REC社工場見学にいってきました1 シャワーを浴びた後はすぐに工場見学へ。途中で太陽光発電ムラ東北支部長のGさん、そしてO社長および当ブログ共同投稿者のHiroさんも合 記事を読む 中国製パネルの実力はいかに?サンテライト社レポート2 ( 中国製パネルの実力はいかに?サンテライト社レポート1からの続き) 高速のインターを降りると全く生活感のない 工業地帯に到着。まだ開 記事を読む 50kW低圧太陽光発電所パネルメーカー見学 サンテライト社に行って来ました 職人革命会の情報交換が熱すぎたため、 朝の4時30分まで飲んでタクシーで伊丹空港に向かい、 7時50分のフライトで成田へ。 そのまま杭州 記事を読む 太陽光パネルの最先端を見に行こう ソーラーワールド社に行って来ました3 すみません。だいぶ間が空いてしまいましたが 太陽光パネルの最先端を見に行こう ソーラーワールド社に行って来ました1 太陽光パネルの最先端を 記事を読む ソーラーワールドの工場見学に行ってきました(2回目) インターソーラーの翌日は飛行機とバスでフライブルクへ。 またもやソーラーワールドの工場見学です。 2回目となるとある程度退屈なのかとおもい 記事を読む 太陽光パネルの最先端を見に行こう ソーラーワールド社に行って来ました1 報告が遅れましたがドイツのソーラーワールド社に 行って来ました。 これから何回かに渡りレポートを書いていきます。 「世界で一番のパネル 記事を読む 中国製パネルの実力はいかに? 正信ソーラー社レポート1 以前、6回に分けて中国のパネルメーカー、 サンテライト社の訪問記をアップしましたが その際に正信ソーラー社にも行って来ました。 当日は 記事を読む コメントを残す コメントをキャンセル 名前(必須) メールアドレス(必須/公開はされません) ウェブサイト コメント(必須) 次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>
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