アモルファスシリコン(a-Si)太陽電池の特徴の一つに低温で製造できるという点が挙げられます。低温と言っても200数十度と高温ですが、結晶系のSi太陽電池では500-600度(700-800度だったかもしれません)もの高温になるのに対し、ずっと低い温度で作ることができます。この温度で作ることができると、材料の選択範囲が広まってきます。
a-Siは気体を使った化学反応(気相成長)で作っていきますが、製造温度が200度程度であれば、様々なガラスや耐熱フィルムの使用が可能になってきます。この結果、いろいろな形の太陽電池が可能になってきます。
a-Si太陽電池は昔、サンヨー(今はパナソニックに吸収されている)が世界のリーディングカンパニーでした。サンヨーがa-Si太陽電池を用いたソーラー電卓を普及させたことは以前にも紹介しましたが、面白いところでは「アモルトン瓦」というものを試作していました。
これは瓦型の太陽電池ですが、ガラスで瓦を作ってその上にa-Siで太陽電池を作ったものです。「アモルトン」というのはその時にサンヨーがA-Si太陽電池につけたブランド名です。
「アモルトン瓦」について、私が見たのは写真だけで現物は見なかったように思いますが、一応それらしい形にできていました。但し、見たのは1枚だけで、おそらく太陽電池としてはまともには動作していなかったと思います。単に見せるために1枚だけ作ったのでしょう。
それでもインパクトは十分で、結構話題になっていました。
いまではスレート型でもっと現実的な瓦型太陽電池を試作するところもあるようです。屋根に載せる太陽電池としては瓦型も良いでしょうが、要は屋根の機能を果たせば良いので、瓦の形にするかどうかは単に趣味の問題ですね。
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