これまでアモルファスシリコン太陽電池についていろいろ書いて来ましたので、ここで少し纏めておきたいと思います。まとめるついでに少し新しい話題も入っているかもしれません。
1.光劣化がある
これはアモルファスシリコンの最大の難点で、このために今やアモルファス太陽電池を単純に商業化しているところはありません。パナソニックやカネカはアモルファスシリコンを使った太陽電池を作っていますが、結晶シリコンと両方を用いたもので、単純なアモルファス太陽電池は異なります。また、アモルファスシリコンのこの光劣化は熱によって回復するという特徴があります。
2.光の吸収率が良い
光の吸収度のことを専門的には吸収係数とも言いますが、この吸収係数が高く光を効率よく吸収できるため、太陽電池の厚みが薄くて済みます。従ってアモルファス太陽電池は「薄膜太陽電池」とも呼ばれます。(CISも吸収係数が高く薄いので同様に薄膜太陽電池と呼ばれます)
3.可視光と相性が良い
一方、結晶シリコンに比べて光の吸収帯域が狭いので、変換効率は結晶より低くなります。光の吸収領域はほぼ可視光の範囲で、この範囲での変換効率は高く、蛍光灯やLEDの光に対しては結晶よりも良く発電します。
4.熱に強い
熱に強いというのはあまり適正な表現とは言えませんが、光劣化が熱によって回復するので見た目の特性としては熱に強く見えます。
ところで・・・・、
アモルファスシリコンが低照度でも良く発電するという話が流れているようですが、これは正しくありません。おそらく光の吸収率が良いことや、蛍光灯やLEDに対しては良く発電することなどと混同しているのだと思います。
アモルファスシリコン太陽電池は低コストになると期待されましたが、効率が上がらないことや生産性が悪いことなどから、結局、結晶とあまり製造コストは変わりませんでした。
今や単純なアモルファス太陽電池は作られていませんが、カネカやパナソニックはアモルファスを用いた太陽電池を作っています。カネカはアモルファス太陽電池を結晶型の太陽電池の上に重ねたもので、こうすることで光劣化の影響を少なくすることができます。ただ、複雑な製造になるのでコストアップになるのではと思うのですが。
パナソニックは結晶シリコンにアモルファスシリコン膜を重ねて一つの太陽電池を作っています。この場合も劣化の影響は少なくなるようです。これはパナソニックというかサンヨーの独自技術で、非常に優れており世界に冠たるものだなと思います。
他にもアモルファス太陽電池はいろいろな基板の上に作れたり、シースルーにできたりする特徴がありますが、ここでは割愛させて頂きます。シャープもアモルファスを少し作っていたようですが、経営再建のため止めるようです。またCISもアモルファスと同じく薄膜太陽電池であるために混同されることがあるようなので、この辺りはもう少し説明したいと思っています。
その前に次回は4月の11-20日の太陽光発電状況について報告しておきたいと思います。
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