バックコンタクトとは太陽電池セルの裏面からプラス、マイナス両方の電極を取り出す技術です。太陽電池と言うと表と裏に電極があることが当然と思っていたので、私が初めてバックコンタクトという言葉を聞いた時は、一体どのように裏面から両方の電極を取り出すのか判りませんでした。要するに下の図のようになります。
普通のセル
ちょっとややこしい説明ですが ‐‐‐‐、
普通の太陽電池はpn接合が基板の深さ方向に形成されているので、半導体に光があたって生成されたプラス・マイナスの電気は基板の表と裏に分離されて収集されます。バックコンタクトの場合は基板の裏側にp電極、n電極があり、pn接合が基板の中で横向きに掲載されるので、半導体に光があたって生成されたプラス・マイナスの電気は横方向に分離されてp電極、n電極に収集されます。‐‐‐‐ややこしい説明終わり。
普通の太陽電池は表に電極があり、そこは光を通さないので発電できません。電極が占める面積の割合は4-5%ぐらいなので、バックコンタクトを使うことで4-5%ぐらい得することになります。例えば変換効率20%のセルならバックコンタクトにすることで21%ほどに改善できます。改善効果はその程度ですが、pn接合をうまく作ることができれば(そこが一番難しいけれど)、効果は確実に期待できます。
バクコンタクトを使ったセルは表に電極がないので、一目見ればすぐに判ります。日本では東芝がバックコンタクトの太陽電池を提供しています。東芝自体は太陽電池を作っていなくて、アメリカのサンパワーという会社から供給を受けて販売しています。東芝が太陽電池についての技術を持っているわけではありません。
この東芝という会社、太陽電池をやる気があるのか良く分かりません。皆さんもご存じのように東芝は原子力に力を入れてきた会社です。昔、太陽電池の会社がサンシャイン計画で技術開発に頑張っていた時、東芝は参加せずに知らん顔をしていました。どういう背景で太陽電池に参加することにしたのか、これからは新エネルギーだと考え直したのか、儲かりそうになってきたから急きょ参加したのか、良く分かりません。
こういう不可解な取り組み姿勢というのは、最近の不正経理スキャンダルとも共通したものがあるように思えます。単に儲かりそうだからというだけでなく、なぜ取り組むのか、意義をはっきりさせて事業に取り組まないと長続きしないと思います。
東芝の太陽電池はどうなっていくのでしょう。
今回はちょっと技術の話から脱線してしまいました。
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