先月になりますがペロブスカイト系太陽電池で変換効率更新のニュースがあり(太陽電池の新顔「ペロブスカイト」、18.2%の記録が意味するもの)、結構話題になっていました。
ペロブスカイトと言っても馴染みのない方も多いと思います。これは結晶構造の1つの形の名称で、3種類の元素からなり、それらをA、B、CとするとABC3という形で表され、チタン酸バリウムなどいろいろなものがあります。ペロブスカイト系の材料には面白い性質をもつものが多くあり、液体窒素温度で超電導を示す材料など有名です。
中には半導体性質を示すものもあり、それを利用してペロブスカイト系の太陽電池が考えられました。太陽電池の詳しいことは上記の記事に譲りますが(そんなに詳しく知る必要もないと思いますが)、ペロブスカイト系太陽電池の価値は次の2点にあると思います。
- 極めて短期間に18.2%という高率に達した
- 印刷プロセスを使い低コスト化できる可能性がある
いつ頃ペロブスカイト系太陽電池が出て来たかよく覚えていませんが、よく聞くようになったのはここ数年だと思います。「新しいもので使い物になるかどうか良く判らないな」と思っているうちに、急に効率が上がってきました。今回発表された18.2%なんていう値は、一昔前のシリコン太陽電池の効率に相当します。もっとも、今回のペロブスカイトの太陽電池は1cm2という小面積の値と言う点で差し引いて考えなければなりませんが。
もう一つの低コスト化については、低温の常圧で作成できることから期待されているようです。昔、アモルファス太陽電池が低温・薄膜化でコストを大幅に低下できるという期待を持たせて裏切られてしまった経験があるため、現時点でまだあまり期待をしたくはありませんが、可能性があることは確かでしょう。
一方で結晶シリコンの太陽電池の低コスト化も進んでいます。最近はコスト低下が鈍くなっているようですが、それでもモジュールで50-60円/Wになっているようなので、ペロブスカイト系太陽電池はかなり頑張らないといけません。
いずれにせよ、技術開発の分野からまだまだコストダウンの可能性があることは頼もしい限りです。
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