90年代の終わりにJICAが世界アンケートをとり、その結果ニーズが強いと見られる国々に太陽光発電などの再生可能エネルギープロジェクトを行うことになりました。これらのプロジェクトの多くに私も関与し、次のようなことに気が付いたところまで前回説明しました。
- プロジェクト対象に選ばれた国は、日本人の専門家がいるなどJICAに手慣れた国であることが多い。
- 日本の太陽光メーカーはこれらのプロジェクトにほとんど関心を示さない
まず初めの問題です。これは太陽光だけではなく全般に言えることですが、JICAの支援要請書は先方政府が誰かに頼んで作成することが極めて多く見られます。途上国政府の役人はまだ能力が低く、先進国の想定するような文書を作成できないことがほとんどです。先方政府もそのことが分かっていますので、文書作成を誰かに頼みます。理想的な依頼先は・・・・・日本人です。
世界アンケートをとって、日本でその結果を分析してニーズが強いと見られる国が選ばれたと初めに書きましたが、そのうちトップの2か国の政府の電力部門には日本から電力の専門家が派遣されていて、彼らがアンケートに答えていました。
これらの専門家は、日本ではODAプロジェクトを得意とする会社に所属していてJICAのスキームを良く知っています。彼らはアンケートを見て、「うまくすればこれは次の仕事につながる」と読み取り、模範的な解答を返したようでした。
まぁ、それも悪いことではないのですが、アンケート結果を分析する側がそういう実情を知っていて、途上国の本当の姿を分析する能力を必要とされることになります。これは相当に経験が必要で簡単なことではありません。結局、アンケート結果も模範解答の国が選ばれることになりました。
JICAのプロジェクトが盛んな国というのは、このように日本人がいる場合やJICAのプロジェクトを経験し慣れたコンサルタントがいるような国になることが多くなります。途上国はどの国も同じように様々なニーズを持っているので、それをうまく国際協力のプロジェクトに結び付けることのできる国がプロジェクトを勝ち取っていくようです。
これに気が付いたときは「なぁんだ・・・」という気がしましたが、税金を投入し国家同士の協力で行うようなプロジェクトに文書作業は必須であり、それに対応してもらうことはある程度必要悪のようなものかもしれません。後は、プロジェクトを実施する人もそのような背景を知り、うまく実情にそった活動をするしか仕方ないでしょう。
もう一つの問題については次回に回します。
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