昨日取り上げた太陽電池の反射防止膜について、少し復習。
反射防止膜は下図のように太陽電池の表面にあり、光が入ってくる側の材料と太陽電池の中間の屈折率を持つ薄い膜です。単に中間の屈折率を持たせて反射を抑えるだけでなく、光の干渉作用を利用して更に反射を抑えるようになっています。
ここまでが昨日の話ですが、ここで、光の干渉作用について少し説明します。
太陽電池に差し込む光は、上の図で示されるように反射防止膜と太陽電池表面で反射することになりますが、太陽電池表面で反射する光は、反射防止膜表面で反射する光より少しだけ長い距離を進むことになります。
反射防止膜はとても薄いので、この二つの反射光の進む距離差は、光の波長ぐらいのレベルになります。
光とは波ですから、振幅に山と谷があり、二つの反射光の距離差がちょうど光の波長の時には、山と山、谷と谷が重なって二つの反射波は強めあいます。逆にちょうど光の波長の半分の時に二つの反射波は弱めあいます。
反射波が弱めあう場合、光が消えるのではなく、反射せずに太陽電池の中に入っていくことになるので、反射防止として働くわけです。
二つの反射波の距離差は、反射防止膜の膜厚によって決まります。従って、膜厚をうまく選べば反射防止として有効になります。
太陽電池ではこの膜厚をどれぐらいにすればよいでしょう?
太陽光が単一波長なら話は簡単で、二つの反射波の距離差がその波長の半分になる様に膜厚を選べばよいのですが、太陽光には様々な波長の光が含まれています。そのうち、発電に有効な光だけでも、波長が0.3um から 1.1um ぐらいに広がっています。
従って、ある波長の光の反射防止になっても、他の波長の光には反射防止にはなりません。
このため、どの波長の光の反射防止にした時が一番太陽電池に有効かいろいろ調べた結果、青いところの光は反射しても、他の光を吸収させた方がよいことが分かりました。これが太陽電池は青い色をしている理由です。
逆に、太陽電池の反射防止膜の膜厚を少し変えると、太陽電池の見た目の色は変わります。赤い太陽電池や、緑、黄色など様々な色の太陽電池を作ることができます。
そのような太陽電池は反射光が少し変わり、効率も少し悪くなりますが、それほど大きく低下するわけではありませんので、太陽電池として使えます。
これを利用して様々な色の太陽電池を出しているところもあったような気がしますが、良く覚えていません。今度のEXPOでもし見つけたら写真でも撮って帰ろうかと思っています。
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