大規模な太陽光発電の動作状況をチェックするのはなかなか難しいものがあります。このため最近では「ソラメンテ」や「ソコデス」など簡易に保守が行える道具が開発されています。またこれら以外にも「IVカーブトレーサー」や「サーモビュアー」は昔から評価用機材として使われてきています。
私が運営している太陽光発電所は50kWと小規模で、今のところ問題なく稼働していると思っていますが、上記の機器について技術的な興味があり、今回、これらを現地に持ち込んで使ってみました。ここではその感想や技術的な背景などについて書いてみたいと思います。
おそらくダラダラと何回かに分けて書くことになると思います。気長にお付き合いください。
まず、これらの機器について私が理解していることを並べておきます。
「ソラメンテ」
太陽電池の開放電圧と直列抵抗を測定する。太陽電池アレイのストリング毎に測る。直列抵抗が異常に大きいと断線などが発生していると思われるので、更に別に付属している非接触の電流センサーで異常のあったストリングの各パネルに電流が流れているかどうかチェックする。割とコンパクトで使いやすい。
「ソコデス」
ソラメンテと同様に開放電圧と直列抵抗を測る。これもストリング毎に測る。ソラメンテと異なるのは、直列抵抗値が異常に大きい時に、どのパネルが異常かを推定してくれる点。おそらくパルス応答を使って推定しているのだろう。異常パネルを探す手間が省けて便利。
ソラメンテより少し大きいが、コンパクトにまとまっていて便利。
以上の2機種は特に保守用に開発されたもので、なかなか便利に作られていると思う。上記の説明のなかの「直列抵抗」という言葉には少し難しい概念が含まれるが、それについては別途説明することにします。
「IVカーブトレーサー」
太陽電池の電圧・電流特性(IVカーブ)を測るもので、昔からもっともよく使われてきたもの。開放から短絡までの太陽電池特性を測り、種々の電圧・電流値や最大電力、効率、直列抵抗など必要な特性値はほとんど測れます。このため装置は携帯用のものでも大きめで重く、価格も高くなります。普通は日射系や温度計と共に使って、標準状態の太陽電池特性まで計算できるようになっているので、測定値とその太陽電池の定格値の比較が簡単に行えます。
「サーモビュアー」
これは普通のサーモビュアーで、太陽電池用というわけではありませんが、パネルの温度分布を画像で見て異常個所を探すのに使います。太陽電池はパネルの中に多くのセルが直列に接続されています。もしこの中に発電電流の少ないものがあると、そこに何とか電流を流そうとする作用が働き、結果としてそのセルは他のセルより温度が高くなってしまします。また、接続箇所の中に不良があっても発熱することがあります。サーモビュアーではこのような場所を簡単に発見することができます。
以上の中で「IVカーブ」についても更に説明した方が良いと思いますし、「直列抵抗」や不良セルの「発熱」についてもIVカーブの概念を知っておくとより理解を深めることができると思います。これらについても説明していく予定ですが、とりあえず実際の測定がどのように行われたかが興味ある問題でしょうから、次回はそれについてまとめようと思います。
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