環プロ無償というのは環境プロジェクト無償の略だと思います、多分。10年ほど前に始まったと思います、これも多分。
この環プロ無償というのはそれまでのプロジェクトとは大きく異なりました。
まず、それまでのプロジェクトは独立システムでしが、これは系統連系システムでした。系統連系システムを途上国援助のプロジェクトで取り扱うのは次のような理由から難しい面があり、ほとんど行われませんでした。
- 太陽光発電は無電化地域を電化するために導入することが多いが、系統連系は電化されている地域が対象になる。系統に更に太陽光発電を連系しても無電化が解消されるわけでなく、途上国援助として大して意味がない。
それでも系統連系システムを環プロ無償の対象にしたのには次のような理由があります。
- 独立システムはバッテリーを使わなければならないが、バッテリーは2-3年で寿命となり交換しなければならない。ほとんどの独立システムプロジェクトはバッテリーの交換ができなくて失敗している。
- たとえ、バッテリーの交換ができても、使用済みバッテリーの回収が困難。バッテリーが回収されないと有害な鉛で環境汚染になる恐れがある。
つまりバッテリー問題で失敗する恐れが少なかったからです。また系統連系システムは既に欧州のFITのお蔭で十分に実績があったので、技術的にも容易でした。従って、途上国援助としての効果はあまりないけれど、技術的に容易で失敗する恐れのないプロジェクトを実施したかったのです。
国際協力のプロジェクトとして矛盾しているように見えますが・・・・、実際矛盾しています。これは、環プロ無償というのは途上国支援のために実施されたプロジェクトではなかったからです。日本のために実施されたプロジェクトだったのです。そう考えると理解しやすいと思います。
2000年代には日本の不況対策としていろいろな施策が実施されました。エコポイントなどその例の一つです。エコポイントのお蔭で大型のパネルTVの売れ行きが上がりました – – – パネルTVは省エネ型なのでエコポイントが付く、大型であってもパネルTVにはエコポイントが付く、実際には消費電力が増えてもエコポイントが付くので大型のパネルTVを買う – – – という流れです。かなり無理がありますが、これは省エネが目的なのでなく、不況対策で家電メーカーを救済することが目的だったので大型パネルTVにもエコポイントが付け、購買欲を引き出す様にしました。
同様の理屈で、環プロ無償も実施されました。途上国援助としての意味はそれほどなくても、太陽光メーカー救済のために正当化されたのでした。しかし当時は欧州のFITのお蔭で太陽光の市場が急速に膨らんでいた時期で、なんで太陽光メーカーを救済する必要があったのかと不思議に思います。
いずれにせよ、環プロ無償は日本のために行ったプロジェクトで、前に私は「国際協力プロジェクトをもっと日本のために行っても良いのでは」と書きましたが、実際には行っていたのでした。ある意味、良い例だなと思います。
この時は「不況対策」ということを錦の御旗にしてできたわけですが、今後このような例が増えて、御旗が無くても自国のための国際協力がもっと堂々と進められたら、と私は期待しています。
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