前回、マイクロクラックの話をした時に、太陽電池セルにクラックが入ってもセルの特性にそれほど影響を与えないことに昔気が付いたことに触れました。昔、超薄型のモジュールを作っていた時のことなのですが、その時のサンプルをまだ保存していました。下の写真のようなモジュールです。
当時のセルは0.5mmと今よりもずっと厚かったのですが、これを薄いEVAと対候性フィルムでラミネートして、全体でも1mm程度の厚みに抑えていました。
この超薄型モジュールは、当時流行り始めていたソーラーカー用のもので、車の屋根やボンネットのところの曲率に合わせてセットできるように考えられています。太陽電池セル自体を曲げるのは難しいですが、セルとセルの間のところは反らすことができるので、これでソーラーカーにセットして、更にその上をコーティングするというものでした。
写真はサンプルで作ったものなので小型ですが、実際には36セルからなるもっと大きなものです。とにかく薄いので、取扱いに気を付けていたのですが、ふとした時にストレスがかかってしまい、「パキパキパキッ・・・」と、まさにセルの割れる音がしました。
「しまった!」と思ってセルを見てみましたが、一見どこにもヒビが入ったように見えません。壊してしまったかと思いIVカーブ特性を測定してみましたが、それもほとんど元のままです。「あれ、大丈夫なのか?」と思い考えてみて、前回指摘したように、軽いクラックぐらいなら収電極を通じて電流収集できるので、特性に影響を与えないことに気が付いたわけです。
尤も、今のセルは0.2mm厚なのでこういうわけにはいかないかも知れません。また、その時のセルは収電極にハンダコーティングがしてあったので、クラックぐらいでは電極は切れないだけの強度がありましたが、今のセルはハンダコーティングなどしていないので、この点ももっと弱くなっています。
いずれにせよ、クラック発生直後にはほとんど特性が変わっていなくても、長期使用で熱サイクルなどを繰り返すとクラックが成長して早く劣化することは間違いないでしょう。
やはりクラックがあるというのは製造の品質管理が悪いということの表れで、そのようなメーカーの太陽電池の購入は避けた方が良いと思います。
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