太陽光発電所が正常に動いているかどうか知るために、近くの発電所とkWあたりの発電量を比べる方法を私はよく使っています。
これに対して、「設置状況やシステム構成などに因って発電の効率が変わってくるので単純な比較ができないのでは?」というご指摘をよく受けます。この疑問は、私と注目している点が異なるために生じると思われますので、それについて説明します。
確かに太陽光発電はパネルの角度や向きなどの状況によって効率が異なってきます。またパワコンの効率も全体の効率に影響を与えます。従って、他の発電所とkWあたりの発電量を比較してもこのような効率の違いに影響されます。それはそれで良いのです。その違いがなぜ起こったのか検討して頂ければと思います。なかなかそこまでできないかも知れませんが、本来、完成検査の時に確認しておくのが一番良いでしょう。
一方、
私が見たいのは、設置後、設備にトラブルが発生したり経時変化が起きていたりしていないかどうかです。基本的に、比較している発電所とkWあたりの発電量の比は経時変化しないはずです。この比が変化するということは、どちらかの設備に異常があったということになります。
もちろん、気象条件を同じにするために、近くの発電所と比較することが重要です。また設置状況によっては季節的な変動が生じることも考慮しておく必要があります。
今のところ、この考え方でうまくモニタリングができています。これまでにも紹介してきましたが、例えば下図は自宅発電所の出力と、数km離れたところにある発電所の発電量の比の経時変化です。数km離れているだけでも微妙に天気が異なり、かなりバラツキがありますが、全体としては両者ほぼ同じ比率であり、初期の発電状態を維持していると見られます。
また、下図はまさに隣り合った同じタイプの発電所の出力を比の経時変化をしていますので、ほとんどバラツキはありません。一方の発電所はスネイルトレイルが大量にあるアレイで、この2年ほどで1-2%発電量の低下が図から読み取れます。
この例で判りますように、うまくすれば1年で1%ぐらいの発電能力の低下も見つけることができます。普通に発電量を見ているだけでは1%どころか、5%ぐらい劣化しても気づかないのではないでしょうか。
この方法、私は結構、気に入っています。
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