変換効率50%というのは凄い数字ですね。ホンマかいな、と思って調べてみましたが、結果は「???」というところです。NEDOが援助している研究なのでウソではありませんが、50%を超える太陽電池が可能だろうという話で、決して「できた」ということではありませんでした。
最初にこの話を知ったのは産経WESTの記事です(太陽電池の変換効率50%を超えた 神戸大学が新技術「理論上63%」発電コスト下げ実現めざす)。普通、高い変換効率がされた時はもっと具体的な数値やセル構造が報告される筈ですが、この記事では何も書かれていません。おかしいなと思って、もう少し調べると元のプレスリリースがありました(変換効率50%を超えることができる新型太陽電池を提案―発電コストの大幅引き下げに期待)。
プレスリリースでは「50%を超えることができる・・・電池を提案」と言っているだけで、「できた」とは書いていません。いろいろ調べると、50%を超えるためにキーとなる技術を個別に確認しただけで、その技術を使って太陽電池を作った訳では無さそうです。
キーとなる技術は「2ステップ・アップ・コンバージョン」というもので、太陽電池の構造の一部に使い、これまでロスしていた光の利用向上を図るものです。これまでもこのような技術が使えたら変換効率の大幅向上が期待できるとされていましたが、うまく実現することができませんでした。神戸大学はこの「2ステップ・アップ・コンバージョン」のところだけを個別に実験し、ロスしていた光を従来より100倍も利用することができたようです。これをうまく太陽電池に利用できれば変換効率が50%以上も可能という話です。
とは言え、まだ「2ステップ・アップ・コンバージョン」を使って太陽電池を作った訳ではありませんから、どうなるかは判りません。ただ論文には太陽電池らしき構造が下図のように提案されていました(論文が難解な上に英文なので内容は確認していません)。
それにしても産経WESTの記事は紛らわしいですね。「50%を超えた」と書いてしまうと、どうしても実現できたと読んでしまいますね。そう書いてあるのですから(笑)。多分、この記者は本当に実現できたと勘違いしているのでしょう。
スマートジャパンでもこの話を扱っていました(神戸大学、変換効率が50%を超える太陽電池構造を発表)。こちらの方がもう少し正確ですね。「50%を超える」としか書いてありませんから。こちらの記者は多分正確に理解していると思います。
しかし、スマートジャパンのこの記事を見ても「50%を超えた」と拡大解釈してしまう人が多いのではないでしょうか。記事をしっかり読まずに、早合点する人は世の中に多いですからね。いや、むしろ私がちょっと細かすぎるのか、ブツブツ・・・。
コメントを残す