パナソニックのHIT太陽電池の温度特性を改善発表の問題点

昨日紹介しました「HIT 量産レベルとして世界最高水準の「-0.258/℃」を達成」の記事で、気に入らなかった点を説明します。いくつかあります。

 

まず、太陽電池の温度が75度にもなると書いている点。 これは相当に暑くて日差しが強い時の話であり、それでも75度にはなかなか達しない温度です。まぁ、75度にならないとは言えないので、これは大した問題ではありません。

 

次に温度係数について。 ここで取り上げている温度係数は最大電力の温度依存性ですが、これは理論的には解明できておらず、実験的に求めるだけのものです。それでもバラつきが大きく、有効数値を一桁確保するのも難しい時もあります。このニュースではHITの温度係数が-0.29%/℃から-0.258%/℃に改善されたということですが、有効数値が一桁取れない中で、あまり有意な改善には見えません。でも、まぁ改善されたのでしょう。

 

一番気に入らなかったのは次です。 記事では普通のシリコン太陽電池の温度係数-0.50%/℃より大幅に良いという主張です。確かに、HITの温度特性は普通のシリコン太陽電池より良いので主張は判ります。しかしシリコン太陽電池の温度係数の-0.50%/℃という値は「太陽光発電協会 表示ガイドラン(平成28年度)より「参考値:(1)結晶系シリコン太陽電池」を引用」と書いてあるのに、この表示ガイドラインを探してもそんな値はどこにもありません。しいて言えば下の表がありました。

補正係数

この表に従えば、シリコン太陽電池の効率は冬場は定格より1割悪くなり、夏場は2割悪くなるということです。効率が低下する大きな原因は温度で、冬場と夏場では20度ぐらい気温は変わりますから、「-0.50%/℃」と言うことにしたのでしょうかねぇ。随分わかりにくい引用です。

 

既に書きましたように、太陽電池の効率の温度係数は理論的にも良く判らず、実験的にもバラついてなかなか確かめにくいものです。各社の太陽電池の温度係数をずっと知りたいと思っていましたが、太陽電池メーカーはなかなか温度係数を公表しようとはしませんでした。そこに、この記事でシリコン太陽電池の温度係数が「太陽光発電協会の表示ガイドライン」から引用したと書いてあったので、私は喜々として表示ガイドラインを調べたのですが、やはり書いてありませんでした。ガッカリです。

 

誤解しないで下さい。HITの温度特性が良いという点は十分認めています。ただ定量的にはまだはっきりしないと思っているだけです。で、パナソニックは数値をもっと慎重に扱って欲しいですね。

 

ついでに言うと、この記事では新しいHITでは75度の時の変換効率が普通のシリコン太陽電池に比べて46%も向上すると書いてあります。これもウソとは言えませんが、印象操作的で誤解を招こうとするような表現です。これについては、説明する気にもなれませんので省略します。

 

温度特性が良いというのはソーラーフロンティアのCISもそうですね。ソーラーフロンティアについて以前に言及しましたが、今回のパナソニックと共通する問題がありますので、次回説明します。

 

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