ネットで太陽電池の劣化についてのレポートが紹介されていました(バックコンタクトやPERCパネル、約半年でPIDやLIDによる不具合も)。昨年10月の記事でちょっと古いですが、産総研九州センターのインタビューを取り扱ったものです。産総研の報告会でも紹介されたのかもしれませんが、よく覚えていません(笑)。とにかく参考になる記事でした。
まずタイトルにもあるようにバックコンタクトやPERCパネルは劣化の事実があったのですね。逆に普通の単結晶や多結晶Si太陽電池はほとんど劣化が見られなかったようです。
バックコンタクトについては、山梨県の北杜サイト太陽光発電所を見学した時、バックコンタクト太陽電池だけホットスポットが出まくっているのを発見しましたので、怪しいなと思っていましたが、九州でも劣化が確認されていたわけです。一方、PERCも高効率太陽電池として注目を浴びていますが、この電池に劣化が観測されたということは気になりますね。
バックコンタクトの劣化はPID(電界誘起劣化)として観測され、PERCの劣化はLID(光誘起劣化)として観測されたようですが、まぁこの辺りは細かい話なのでよいとして・・・、太陽電池にこのように劣化があると心配になります。
ただ、バックコンタクトのパネルは北杜サイトではホットスポット出まくりでしたが、最近のパネル(FIT以降)をIRカメラ検査してもほとんど見られません(少なくとも私は見たことがありません)ので、たぶん改良されていると思っています。PERCについては残念ながらよく判りません。やはり劣化が無いか、出力状態をよくモニタリングしておく方が良いでしょう。
モニタリングする際、この報告に示されている1年間の発電量比較(下図)が参考になります。年間の発電量(左のグラフ、年発電量/1kW)は1100~1200kWh/kWぐらいですかね。まず絶対値でこのデータが参考になります。更に右側のグラフ(規格化年発電量)はこの年発電量を各太陽電池/結晶シリコンで示したもので、このグラフは単結晶がほとんど劣化しないと見做し、他の電池の劣化状況を示したものと考えられ、より参考になります。
これを見ると多結晶もほとんど劣化していませんね。他の電池は5年で数%劣化している様子が良く判ります。劣化のモニタリングはこれぐらいの精度で良いのではないでしょうか。ただ、この比較をするには、基準となる結晶シリコン太陽電池のデータが必要になりますが、それさえ確保すれば劣化は発見することができそうです。
太陽光発電所を運営している者にとって劣化は結構気になる問題です。九州産総研の報告は今後も参考になりそうなので注目していきたいと思います。
コメントを残す