長州産業が低コストの基板で太陽電池を作る技術開発を行っているという記事がありました(ガスから作る太陽電池、効率23%でコスト半減)。低コストの基板というのは米国のCrystal solarという会社が開発したもので、エピタキシャルという技術でガスから基板を作ります。これに長州産業がHIT構造の太陽電池を形成し、22.5%の変換効率を達成したようです。
これにより長州産業は、これまでの半分のコストの基板で効率23%の太陽電池を作れると発表しています。少し興味があるので内容を見てみました。ガスから基板を作るというCrystal Solar社の新しい技術は下図のようになっています。
つまり単結晶シリコンの土台の上にエピタキシーでシリコンを積み上げ、必要厚みに達したら土台から外し単体の基板にするというやり方のようです。
これまでエピタキシーでガスから直接シリコンを作ってもなかなか良いものが作れませんでした。開発した技術では、基板を作る土台に品質の良い単結晶を用いることで、その上にできる基板の品質も良くなったとあります。これはあり得る話だ、と思います。
ただ、新しい技術では、ガスから作った基板をもとの土台から取り外し易くするため、もとの土台の表面を多孔質シリコンで覆っています。そうすると、表面の状態はもとの土台より品質が悪くなるため、その上に良い品質のシリコンができるのだろうか、という疑問が生まれます。それでも品質の良いシリコン基板が作れたと発表しているので、これは信用するしかありません。
もう一つ気になるのは・・・、
このように基板一枚一枚をガスから作って土台から外すという作り方はかなりの手間と時間がかかりそうな点です。確かに材料の利用率から見ると、結晶シリコンのインゴットを切り出す方法に比べて全く無駄が無くなります。しかしインゴットから切り出す方法では一度に何千枚も基板を作れるという利点があります。エピタキシーでは材料の利用率は良くなりますが、手間と時間が大幅に増えるので、果たしてコストダウンになるのか気になります。発表ではコストは半分になるということなので、これも信じるしか仕方ありません。
うまく行けば面白い技術ですが、本当にコストを下げ品質を維持できるのでしょうか。長州産業が今後出してくる製品に注目です。
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