前回のブログで、「私はペロブスカイト太陽電池にあまり期待していない」と書きましたが、この太陽電池は最近のニュースなどで有望な次世代太陽電池と取り上げられることが多く、不思議に思われる方がいるかもしれません。私がペロブスカイト太陽電池に期待していない理由を少し説明しておこうかと思います。
最大の理由は「低温プロセスである」という点です。結晶シリコン太陽電池は1000度近い高温で製作されます。ペロブスカイト太陽電池の方はよく知りませんが、塗布プロセスで製造できるということなのでそれほど高い温度ではないと思います。太陽電池は厳しい自然環境に設置されるものなので、高い耐久性が必要とされます。低温プロセスのペロブスカイト太陽電池がそんな環境に耐えられる気がしないのです。
私はかつてアモルファスシリコン太陽電池の研究に携わっていました。薄膜で低温プロセスのアモルファス太陽電池(この辺りペロブスカイト太陽電池と似ていますね)が発見された時は、従来の結晶シリコン太陽電池より画期的にコストダウンが可能だとされ、一世を風靡する勢いで注目が集まりました。ソーラー電卓が開発されたのもこの時です。しかし、アモルファス太陽電池は光劣化が克服できず、大規模な電力用途には使われることはありませんでした。
ペロブスカイト太陽電池にも同じような傾向が見られると思います。実際、今のペロブスカイト太陽電池は全く安定性が無いようです。ペンキのように塗って作れる太陽電池と言うのが謳い文句のようですが、ペンキは2-3年でダメになりますね。ペロブスカイト太陽電池もそれほど持たないのではないでしょうか。
ただ、太陽電池分野は今あまり新しいネタが無いので、取りあえず話題のペロブスカイトで研究を繫いでおいて、次の新しいネタを探すという手はあるでしょう。研究を絶やすと新しい芽が出てこなくなりますから。「塗るだけで作れて、軽くて曲げられる太陽電池」というのは聞こえが良くて、研究ネタに使いやすいですからね。そういう意味では研究を続けることに賛成です。
ブログランキングに参加しています。皆様の応援を頂けたら励みになります。是非、ボタンを押して応援してください。
にほんブログ村
コメントを残す