前回で下図のようなIVカーブのセルを4つ直列接続すると
下図の実線のようなIVカーブになることまで話しました。
また、 電流の少ないセルが発生する電圧がマイナスということも説明しました。
このセルで発生する電力を考えます。
電力は電圧と電流の積ですから、電力もマイナスになります。 つまり電力を発生しているのではなく、逆に消費していることになります。
消費する電力は他のセルから供給されます。 せっかく他のセルで発電した電力をこのセルが消費することになります。
消費した電力は熱になります。この場合は他からの電力も加わっているので、単に発電した電力を自己消費する場合(前回説明の場合)より多く熱を発生することになります。
それでもこの例のようにセルが4つぐらいならまだそれほど問題になりません。
しかし、普通のモジュールはセルが60個も直列接続されています。ストリングではモジュールが何枚も直列接続されているので、全体で何百枚ものセルが直列接続されています。その中でもし一つでも電流の少ないセルがあれば、他の何百枚ものセルから電力が流れ込んできて異常加熱を起こし、最悪、発火に至るケースもあります。
このようなトラブルを避けるため、モジュールを作る際にはできるだけセルの特性をそろえて、異常加熱が起こらないようにしています。
しかし、いくらセルの特性をそろえても、例えば枯葉などが太陽電池の上に落ち、一つのセルの電流だけが少なくなり異常加熱を起こしてしまうことも起こりえます。
影にならなくても、マイクロクラックなどによって電流が減少することも考えられます。
このような場合にも異常加熱が起こらないようにするためにバイパスダイオードが考えられました。
次回からはバイパスダイオードの話を進めます。
コメントを残す