太陽光発電の動作チェック16 (バイパスダイオード2)

(カテゴリ: 屋根太陽光発電)

バイパスダイオードが動作している時のセルの動作を、あまり難しくならないように説明してみます。これがなかなか難しいのですが、とにかくやってみます。

理論的な話が面倒な方は最後まで読み飛ばして頂いて構いません。

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下の図のようにAからBまで①から④の4つのセルを直列につなぎ、バイパスダイオードを並列につなぎます。この時、①のセルが葉などの影で電流が少なくなった時の電流の流れ方を考えましょう。

AからBへ、セルを通して流れる電流がI1、バイパスダイオードを通して流れる電流がI2とします。ダイオードに電流が流れているのでAとBの間にはほとんど電位差はないはずです。(ダイオードに電流を流すためにはAの方が少し高く(1V弱)なる。)

バイパス電流構成

 

本来なら図のグラフで示されるようにセルの特性が揃っていて、セルには赤の実線で示されるようなIのレベルの電流が流れるはずでした。しかしセル①に影がかかり、本来の点線のIV特性から破線のIV特性に大きく電流が減ってI1のレベル(赤の一点鎖線)なってしまいます。

これ以上の電流はI2のようにバイパスダイオードを通じて流れます。

さてこの時のセルの動作状況をもう少しよく見てみましょう。

②、③、④のセルにはIV特性でI1に対応する電圧V2V3V4 が発生しています。同様に、セル①にはV1の電圧が発生しています。A、Bの間にほとんど電圧がないということは、V1V2 + V3 + V4 はキャンセルしているはずです。

これを①のIVカーブで考えると下の図のようになります。

バイパス電流グラフ

 

つまりセル①にはセル②、③、④の合計電圧がマイナスでかかっていることになります。これはセル①はセル①、②、③が発生している電力を消費していることを意味します。

上の例はセルが4つの時でしたが、普通のモジュールでは一つのバイパスダイオードの中で20個のセルが直列接続されています。従って、最悪の時は19個のセルで発電された電力が電流ネックになっているセルで消費されることになります。何十Wかの電力がこのセルで消費されるため、少なからざる熱が発生するはずです。(但し、これは電流の少ないセルが一つだけの時です。電流の少ないセルが複数の時は、熱がそれだけ分散されるので一つのセルからの発熱は少なくなります。)

もちろん、バイパスダイオードがない時はもっと多くの電力が流れ込んでくるので発火するほどの異常加熱に至ったりしますが、バイパスダイオードがあってもそれなりに熱が発生する恐れがあるのです。直ちに問題にならない程度の熱かも知れませんが、長期に使っているうちに劣化を促進する可能性もあり、できれば避けたいところです。このようなセルは周りのセルより何度か温度が高いので、サーモビュアーで見ればセルの形で温度が高くなっていることが確認できます。早めに見つけて対処できることに越したことはありません。

 

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さて、セルの異常によるホットスポットの発生について説明してきました。面倒な説明で申し訳ありませんでした。

ホットスポットはこれ以外にも接続不良などで起こる可能性もあります。この方が直感的にわかりやすいでしょう。ただ、バイパスダイオードとの関連は少し複雑です。これについて次回以降触れていきます。

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