前回、JICAとUNDPのプロジェクトを調査し、JICAのソーラーホームシステム(SHS)の稼働率が9割もあるのに対し、UNDPの稼働率が4割なのでJICAの方が優れているように見えるが、検討の余地があるということを指摘しました。
検討の余地以前に、UNDPのSHS稼働率が4割もあるというのは驚きです。UNDPのSHSが設置されたのは調査の6年も前のことで、ふつうこれぐらい経過すると稼働率はせいぜい1割ぐらいでしょう。調査が少し甘かったのではないかと疑っています。しかし、たとえ稼働率が1割だったとしても、必ずしもUNDPのプロジェクトが劣っているとは言えないだろうと思っています。
それはコストパーフォーマンスの問題です。
ここでそれぞれのプロジェクトのコスト推定をして見ますが、あくまで私の推定です。実際にかかった額は知りません。
さて、JICAの方はプロジェクトチームの派遣が2年間、その後専門家の派遣が4年間、合計で人件費は3億円程度、機材はSHSが100台で0.1から0.2億円ぐらいとみられるので、結局全体で3億円程度ではないだろうかと思います。
UNDPは、人件費は3-4億円程度でと見られるが、機材費が1万台で12-13億円程度、合計で15-16億円ほどかかったのではないかと思います。
つまり、UNDPはJICAの5倍ほどの費用を投入しています。
一方、成果としては、JICAの方は約100台のSHSが稼働しているのに対し、UNDPは1割から4割、つまり1,000台から4,000台のSHSが稼働しています。
つまりJICAの10倍から40倍のSHSが稼働していることになります。
投入費用が5倍ほどで、10倍から40倍のSHSが稼働している。
1台のSHSを稼働させるのにかかった費用を考えると、UNDPの方がJICAより圧倒的に良いことになります。
計算は合っていると思うんですが。
まぁ細かい話はこれぐらいにして・・・・・、
要するに、評価というのは見方を変えれば全く違ってしまうなぁ・・・、とつくづく思います。特に、このような途上国プロジェクトの場合、得られる情報が限られていることが多いので、評価を全てだと思ってしまうのは避けた方が良いのでしょう、本当に。
ジンバブエのプロジェクトでいろいろな話を聞いていると、やはりJICAのプロジェクトは日本らしく細かな対応をしていたように思えます。UNDPの場合は物量に任せて効果を上げたようですが、やり方は荒っぽかったようです。日本は良い仕事をしたのでしょうが、スケールが小さすぎて相手国に影響を与えるほどの成果は出なかったようです。
少し長くなってしまいました。
これまで取り上げた太陽光発電による途上国支援プロジェクトは個別に仕組まれてきたものでした。不慣れなプロジェクト作りからだんだんと改善されてきたように思います。90年代も終わり頃になると、世界的にも太陽光発電で途上国支援をするプログラムが盛んになってきました。日本でも途上国支援プログラムを促進しようという動きが出てきます。新しい話になってくるので、これについては新年から説明していきたいと思います。
私のブログにお付き合い下さり、ありがとうございます。
皆様、良いお年をお迎えください。
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