テクスチャーとは「織物」とかいうような意味だと思いますが、反射防止の時は表面を凸凹に仕上げる方法を言います。ただ単純に凸凹にするわけではありません。
前々回に反射防止の話を始めた時、パネルの反射光で眩しくなる迷惑防止のためにパネルのガラス表面を凸凹にすることに触れましたが、今回の凸凹は別の話です。単純に表面を凸凹にすると眩しさは減りますが、反射はかえって増えてしまします。
テクスチャーとは太陽電池セルの表面に直接に光の波長ぐらいの細かさで凸凹を付けることを言います。光の波長ぐらいの細かさというのはサブミクロンからミクロンぐらいの長さになります。
光の波長ぐらいのミクロな領域になりますと、光の振舞いもふつうとは異なってきて、なかなか想像することができません。で、この場合は結果的に反射が激減することになります。
これを幾何光学で無理に説明しようという向きもありますが、光のオーダーでの話を幾何光学で説明するのは所詮無理な話で、むしろ次のように考えた方が良いと思います。
下の左図は表面に光オーダーの凸凹をつけたイメージです。
光の波は上の図のように凸凹よりも大きなサイズなので、光はひとつひとつの凹や凸には対応できず、凸凹を全体として何となく感じることになります。その結果、上の方はスカスカなので太陽電池材料を薄く感じ、奥に入るに従って太陽電池材料を濃く感じていきます。これをイメージしたのが上の右側の図です。だんだんと太陽電池が濃くなっていくイメージです。屈折率についても同じようなことがいえると思います。
前回、屈折率の変化が大きいと反射が多くなってしまうので、反射防止のために中間の屈折率の膜を入れるという方法をお話ししました。テクスチャーの場合はミクロの凸凹で実質的に屈折率を連続的に変化させて反射を抑えることができていると考えたらよいと思います。
これは凸凹が波長オーダーだからできたわけです。
この技術は反射防止にかなり有効で、テクスチャーを使った太陽電池は反射がほとんどなく、従って黒く見えます。別名、ブラックセルとも言われます。
テクスチャーで反射が抑えられることは昔から良く分かっているのですが、コストもかかるのであまり得策でなく、まだほとんどの太陽電池は青色をしているのが現状のようです。とはいえ、太陽電池の値段が大幅に下がり、更にコスト競争をしている中では、ブラックセルを用いた商品は当面出てきそうにありませんね。
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