前回、アモルファスシリコン(a-Si)太陽電池についての話を紹介したので、ついでにa-Si太陽電池の光劣化と温度特性についても言及しておきたいと思います。
a-Si太陽電池はかなり大きな光劣化を示します。特に最初の光劣化が大きく、だんだん劣化速度は小さくなっていきます。もう良く覚えていませんが、最初の1か月で1割ぐらい、数年で3割ぐらい劣化したのではないかと思います。
このa-Si太陽電池の光劣化の特徴は、「熱によって回復する」という点にあります。劣化した太陽電池に100-150度ぐらいの熱を加え30分ほどおいておくと、劣化は8-9割がた回復したと思います。ここまでの温度を加えなくても、数十度でもそれなりに回復したと思います。
さて・・・・・、
a-Si太陽電池は光劣化するために定格を決めるのが問題でした。しかし前述のように劣化は最初がきついだけで、時間とともに止まってきます。このため、a-Si太陽電池の定格は、初期の光劣化後の値を使うようになりました。
一方、太陽電池は強い日射の下ではかなり温度が上昇します。夏の日差しの強い日には70度ぐらいにまで上昇します。通常、高温では太陽電池の特性は低下しますが、a-Si太陽電池の場合、熱による劣化の回復現象が同時に起こるので、見かけ上、温度による特性低下が少ないように見えます。これが、a-Si太陽電池は熱に強いと言われる背景です。
熱に強いという表現はあまり正確でないような気もしますが・・・・。
ところでHIT太陽電池も熱に強いと言われています。おそらくa-Siを使っているからでしょう。しかし、HIT太陽電池は結晶シリコンとa-Siのハイブリッドになっているので、a-Si太陽電池と同じ振舞いをするのかどうか良く分かりません。また、メーカーもそこのところはあまり正確には説明していませんが、熱には強いとは言っています。
もし、HIT太陽電池がa-Siと同じような特性を持つのなら、光劣化現象があり、定格は劣化後の値なのでしょうか??? そうすると初めの変換効率はかなり高い??? まぁ、そんなことはないでしょうね。
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