CIS太陽電池の温度特性の評判への疑問

(カテゴリ: CIS太陽電池)

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CIS太陽電池の不可解な評判についてこれまで述べてきていますが、今回は温度特性についてもう少し触れたいと思います。

 

シリコン太陽電池出力電力の温度係数はメーカーによって結構ブレますが、大体マイナス0.7 – 0.8 %/℃ぐらいではないかと思います。これは、温度が20度上がると出力が15%ぐらい下がる割合になります。逆に、温度が20度下がると15%ぐらい出力が上がることになります。

 

また、太陽電池の出力定格は標準状態と言われる状態で規定されています。標準状態では太陽光の強さが1kW/m2、パネル温度が25度と規定されています。太陽光の1kW/m2という強さは、日本では太陽光の最も強い時に光に直角にあててやっと得られるぐらいの値です。

 

さて、

パネル温度は太陽光があたると気温よりも20 – 30度ぐらい高くなります。従って、強い光りがあたると出力は上がるのですが、温度の上がる分による減少分は相殺されてしまいます。しかし、3月や4月は気温が10度を切るような日があり、そのような日に曇りから急に陽がさすと、パネル温度が低いうちに日射が強くなり、一時的に大きなパネル出力を示すことがよくあります。これは皆さんも経験しているのではないかと思います。

 

今月、そのような日がありました。下の図がその日の出力推移を示しています。

ピーク発電

図を見ればわかるでしょうが、最大出力が5kWを上回っています。図では数値が示されていませんが、記録では最大出力5.44kWでした。

 

当家の屋根太陽光は全部で4.59kW、但し、一部が東面、西面に設置されていて、南向き換算で4.3kWと考えています。つまり、この時の最大出力5.44kWはパネル定格より20%ぐらい上回ることになります。

 

パネルの定格出力を4.59kWと大目に見ても、最大出力は定格を18%上回っています。実際にはパネルには光は直角にはあたっていないので、本当は定格を20%以上上回ったのではないかと思います。気温は10度ぐらいあったのではと思いますが、5度だったとして標準状態より20度低いわけですから、CISの温度依存性がシリコン太陽電池と同じとしても温度が低いことによるパネル出力の上昇分は15%程度のはずです。しかし実際にはそれ以上、上回っていました。これを見るとどうもCISの温度依存性はシリコンよりも大きいのではないかということが疑われるわけです。

 

少なくともCIS太陽電池がシリコン太陽電池より温度依存性が少ないという印象は、私はこれまで受けたことがありませんでした。CISが温度に強いというのはどうも当てはまらないような気がします。

 

さて、次回はCIS太陽電池の劣化問題について触れたいと思います。

 

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