PERCというのはHITと並んで有名な結晶系Si太陽電池の新しい技術です。確か、ヨーロッパのどこかの国で開発された技術だったと思いますが、最近よく使われるようになりました。どちらもSi半導体の表面(界面)でのロスを少なくして太陽電池の効率改善をするという点で似たところがあります。まるで両者はライバル関係にあるように見えます。
技術内容を少し見ると、HITは光活性なアモルファスSiで界面のロスを抑えたのに対し、PERCは光不活性な絶縁体でSi表面のロスを抑えようとしているので、技術の中身はかなり違います。が・・・、技術の内容はかなり難解そうなので、これ以上は触れないことにします。
PERCはPassivated Emitter and Rear Contact cellの略で、これを更に改善した技術にPERL (Passivated Emitter and Rear Locally diffusion cell) があります。PERCの説明図をWebで探したのですが、適当なものが無かったので、ここではPERLの有名な図を参考のために下に示します。PERCはこの図で裏面のP+のところが無い形と考えて良いでしょう。
HITでもPERCでもPERLでも変換効率20%をかなり超えるセルが作られています。いずれも製造プロセスが複雑になってきますので、それに伴うコストアップ以上の効率向上が得られるかどうかが問われることになります。これまでPERCもHITも実用化されているので、十分に効率向上の効果があるということでしょうが、両者更なる効率向上を目指して技術開発競争を続けているようです。
日本では日立がPERCの太陽電池を取り扱っているようですが、日立自体は太陽電池を作らず、トリナソーラーが作っているPERCの太陽電池を取り扱っているだけです。この辺りは東芝と似た戦略をとっているようですが、日立はサンシャインに参加したりしてそれなりに太陽電池産業に参加していました(この辺りの重電系の会社の太陽電池に対する姿勢が面白いので、いずれまとめたいと思います)。
PERCはいくつもの会社が導入しているところを見ると、それほどコピーが難しくない技術なのかも知れません。だから、改良版のPERLが出てきたのでしょうか。HITの方はなかなかマネをする会社が出てきませんでした。アモルファスSiの製膜が難しいのかなと思っていましたが、最近、シャープがHITの改造版のような太陽電池の技術開発を行うというNEDOのプロジェクトが発表されました(シャープの次世代太陽電池、NEDOプロジェクトで量産へ)。
「何でパナソニックやないねん!」と言いたいところですが、目標は「量産技術を開発する」ということになっています。基本的な技術は既に公知で誰でも使えるが、量産―コストダウンのところはまだ確立していないということでしょうか。
次回、このプロジェクトについてもう少し見てみたいと思います。
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