太陽光発電事業者としては必ず抑えておきたい情報です。先日、FIT制度の抜本見直しと 再生可能エネルギー政策の再構築が資源エネルギー庁の 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会より発表されました。
http://bit.ly/2Y060ep
もともとFIT制度は10年をめどに見直すと法に定められていたので、2012年から始まったFIT制度を2022年に見直すことは既定路線。特に驚く必要はありませんが内容は早めに把握しておきたいですね。
▼小委員会で取り上げられている内容
【未可動案件への対応はより厳しく】
電気代が高騰し国民負担になっている中で未可動案件、特に40円から32円までの案件が問題と成っています。
例えば40円と18円の権利を持っていた際に、期限の定められていない40円を後回しにして権利の定められている18円を優先して設置するようなケースが多く見られました。
制度的に当然といえば当然なのですが、それによって電気代の高騰につながることが、委員会では非常に大きな問題と捉えてられています。
40円から32円までの案件は当然だとしても、期限の定められている29円以降の案件に関しても非常に厳しい措置がとられる可能性も否定できません。
部材の価格は落ち着きつつある中で、働き手不足の中、施工費ならびに人件費は高騰してきています。
もし連系の引き伸ばしを意図的にされている方がいらっしゃるとしたら、早めに対処されることをお勧めします。
【撤去費用積立金制度への布石】
20年後の事業継続や30年後の適切な設備廃棄・再投資への懸念といった文言が見られました。これは以前から話が出ている撤去費用の積立金に結びつく話かと思われます。
エネ庁の露骨な天下り先の準備として腹立たしいと思う方もいるようですが、私は太陽光発電業界がそれだけの規模になったことを嬉しく思います。
ただし必ず撤去に使う名目で積み立てるのであれば、税法上は損金算入されるのが当然です。これについて曖昧なままで押し進め、「あとは税務署に聞いてくれ」という対応は許すわけにはいきません。
特にエネ庁は国民負担の軽減だけを一次的に考えるばかり、低圧太陽光の半分を認定取り消しにするなどと金融の視点を無視した発言があるように、実経済において視点が書けている点が度々見られます。
このあたりはただ出た通達を受け入れるだけではなく、理不尽な決定にははっきりとNoを突きつけられるよう、日頃から納得再生可能エネルギーのページをこまめにチェックしておきましょう。
【出力制御の保証金制度について】
出力制御については以下のように言及がありました。
中間整理(第1次)において、出力制御低減や運用効率化による社会的コスト削減を目的として、当日制御可能な大規模設備を制御することで出力制御範囲を抑制するとともに、追加収益・逸失利益を経済的に調整するといった手法等について、具体的検討を行うこととされたところ。 これらを踏まえ、当日制御可能なオンライン制御への切替の促進と並行して、経済的調整の実務的手法の検討を進めることとしている。
以上転載終わり。
出力抑制を厳密に運営する事は非常に難しいので、恐らく強制的に電力会社側で抑制に切断し対し、後に経済的保証をすることを検討しているものだと思われます。
確かに電力会社が事前に需給を完全に予想して抑制の依頼をするよりは、容量がオーバーしそうなときに強制的に太陽光発電所を系統から切り離して、その発電所に対して金銭的補償をしたほうがスマートですよね。
これについては早急に対応していただきたいところですね。
【FITの継続にいて】
2022年以降もFIT制度を残すのか、その他の手法を入れるのかについてはまだ決定はしていないようです。以下の2通りがそれぞれ検討されているようです。
●競争力ある電源への成長モデル
発電から小口販売まで垂直統合された電力会社によって再生可能エネルギーが推進される形態。こちらが採用されればおそらくFIP制度が導入されることでしょう。
FIPとはfeed in premiumの略で、18円、14円などと固定価格で電力を売るのではなく、+3円、+5円など市場の売電価格に連動して再エネ電力にプレミアム(賦課金)を与える制度となります。
予測力、営業力、負荷調整力など既存の電力会社レベルのハンドリングが必要となるでしょう。これに対応できる新電力会社は今のところ数社程度かと思われます。
●地域で活用される電源としてのモデル
ドイツのシュタットヴェルケのように地域に密着し、電力だけではなくガス、水道、熱、通信、交通など地域のインフラを逝ってに賄う会社を作るモデルとなります。
年商数億、数十億程度の中小企業を考えられがちですが、日本より人口の少ないドイツでも大きなシュタットヴェルケは兆単位の売上があり、150年以上の歴史があるんですよね。
こちらについてはまだ日本でできる会社はありませんし、経産省、国交省、総務省、農水省などが密接に情報交換をして、大規模な規制緩和を行わなければ不可能だと断言します。
【太陽光発電所の認定取り消しについて】
年々厳しさが増す設置基準についてですが、今回も違反する案件の取締りについてはっきりと言及していました。沖縄であったような認定取り消しが、今後も各地で続出するものと思われます。
各県でも条例を制定するなど、不適切発電所に対する風あたりは増すばかり。インフラの担い手として恥ずかしくない発電所の運営をしていきましょう。
特に最近は基準に達していない発電所に対する金融庁からの締め付けから、各金融機関が不適切発電所に対して非常に厳しい目で見ています。
特に融資時に嘘を付くようなことは絶対にやめてください。後で発覚した際に融資の全額返済を求められる可能性が非常に高くなります。先方は早く資金を引き上げたくてたまらないのですから。
▼今後に向けて太陽光発電事業者が行うべきこと
太陽光発電所の運営もいよいよ新時代といったところですが、数十年の今までの経緯を考えれば先を読むのはそう難しいことではありません。
太陽光発電事業者として進むべきか撤退するべきかは、現在の情報と過去の過去の情報を組み合わせた上で20年後を想像してみてください。そう難しくはないと思います。
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