太陽光発電推進と原発再稼働の両立

(カテゴリ: ▲未来の主役?水素エネルギー)

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2012 12 14 14 11 23th

今日の日経新聞のトップに千代田加工建設の記事が載っていました。

千代田化工建設は2015年度に川崎市で、世界初となる水素燃料の大型供給基地を建設する。エコカーの本命とされる燃料電池車に1日当たり4万台分に充填する量を供給でき、燃料コストを3割下げられる。投資額は300億円程度。燃料電池車はトヨタ自動車とホンダが15年に一般消費者向けの市販車を発売する計画だ。大阪ガスなども水素燃料の低コスト技術を開発している。燃料電池車の普及に向けたインフラが世界に先駆けて整うことになる。

2015年というと先日、トヨタが燃料電池の本格的な普及を
明示しましたのでその関係もあるのでしょう。

また、以下のように千代田化工建設のみではなく関係各社も
2015年に向け水素インフラの整備を薦めています。

水素燃料を巡る主な動き

日経オンラインより抜粋)

千代田化工建設
2015年度に川崎市に世界最大級の水素供給基地を建設

川崎重工業
水素輸送船開発。ロシアで水素工場の建設を検討

大阪ガス
今年度にも都市ガスから従来の3倍の水素を生産する装置を開発、発売

JX日鉱日石エネルギー
化石燃料から水素を従来より2割多く取り出す装置を開発

大陽日酸
水素ステーションの主要機器をパッケージ化し価格半減

神戸製鋼所
燃料電池車に高圧水素を充填する圧縮機を開発

エネルギーシフトを支える水素の存在

私は原発を全て即時廃炉にしてほしいと思っていますが
現実的に考えると廃炉には時間とお金がかかります。

原発は停止していても動いていてもコストもリスクも変わらないので
比較的安全なものであれば動かすしかないかとは思っています。
もちろんこれは福島第一原発の自己の検証がしっかり終わっての話。
このままうやむやにして再稼働というのだけは絶対に避けるべきですが。

そこで原発が動く分、太陽光発電をはじめとする深淵ルギーの推進を
ゆるめてしまうのは論外です。未来にツケを回している分、作られたエネルギーは
今の子どもたちの未来を創りだす事に使われなければなりません。

それには今使う分だけのエネルギーを生産するのではなく、
原発によって余剰に生産されるエネルギーを水素で貯めて、
新エネルギーの生産に回すことが必要です。

原発で創られた余剰電力で太陽光発電推進を

原発を作るエネルギーは使い捨てですが、
太陽光発電所を作るエネルギーは2年で元が取れて
その後20年以上発電を続けます。
つまり1を入れれば10になってかえってきます

仮に現在止まっている約500GW分の原発で
作られるエネルギーを全て太陽光パネル生産に回したとしたら
日本のエネルギー自給どころか新エネルギーのみで世界に
エネルギーを供給することも夢ではありません。

いままでは電力は貯蔵することが出来ないため
実際はこのような事を行うのは不可能でした。

もし、余剰電力を水素エネルギーによって貯めることが
できるようになれば、街中のガソリンスタンドが
余剰電力のバッファとなってエネルギーの需給調整役と なってくれることが期待できます。

これは完全な夢物語ではなく、実際にホンダが
水素エネルギーのオンサイト生産施設を試験稼働させています。
ちょっと期待してしまうのは私だけでしょうか。

リスクの大きさを変えずに未来を開くために原発を再稼働させるなら
現実的な選択肢として私はアリだと思っています。

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4 Comments

太陽王子

確かにドライキャスクをなぜ急がないのかは疑問ですね。第二の六ケ所村でも作る気なのでしょうか。

原子力は感情的には大反対ですが。国防も含めた微妙なバランスの上で誰も一気に動かせないというのが実際のところだとも思っています。

私が太陽光発電ムラを提唱したのも、無理なく効果的な脱原発運動を推進するためです。仮に総理大臣を人質にとって、無理やりひっくり返すことが出来るならやると思いますが、総理の一存でも決められないもののどこを攻めればいいのかが全くわかりません。

水素の漏れやすさは主に水素脆化が問題となっていましたが、鋼材中の炭素比率を下げるなどして今はほぼ解決されていると聞いていますが、まだまだ高いでしょうね。

インフラ技術なので一番のブレークスルーは政策かと。太陽光発電で失敗したように技術で先行して政策で負けるようなことは今回こそは避けて欲しいところです。

松岡

私は、まだ世の中が平和なうちに、ドライキャスク保管に移行するのが最善と思っています。そうすれば、完全放置することになっても、メルトダウンだけは避けられます。
水素の問題として極めて漏れやすいこともありますよね。実用化には、もう一段、ブレークスルーが必要だと思います。

太陽王子

コメントありがとうございます。

元エンジニアとしては書きたくないことなのですが、
即廃炉は技術的には可能ですが、経済的には非常に厳しいと思います。

電力会社が全て負担して廃炉に持っていくのは現実的ではないので
国が負担することになると思いますが、原資のない中で
費用負担だけを負うことになった時に、経済的混乱は
避けられないと思っています。

安全な廃棄物の管理や廃炉が出来るのは経済が回っていればこそ。
原発は確かに儲かりません。それは断言できます。

しかし、技術と経済の両輪を眺めてみた時に
作られてしまった原発を全て止めて廃炉を進めて行く事は
どうしてもリスキーな選択だと私は認めざるを得ません。
もちろん作ったものがちという構図に乗っかるのは非常に悔しいですが。

水素に関しては拡散速度が極端に早いので、爆発範囲の10〜74%の範囲で
留まることは非常に難しいです。
もちろん事故事例はありますが、極めて特殊環境での事例が多いので
知見が広まれば今のガソリン事故の発生件数と大差はないと思います。

液化や圧縮は確かにコストが掛かりますが、熱は意外と運びやすい
エネルギーなので生産を分散化させれば地域コージェネ等、
新しいエネルギー利用の形も出来ますので
太陽光とは極めて相性が良い技術だと私は思っています。

松岡

「原発は停止していても動いていてもコストもリスクも変わらない」
太陽王子までそんなことをおっしゃるとは! これだけは明らかに違いますよ。

再稼働したら、崩壊熱が桁違いに上がりますから、何らかのトラブルでメルトダウンする危険が大幅に高まります。今はほとんどなくなっている放射性ヨウ素が新たに生成されます。
動かす程、放射性廃棄物は増えていくので、後の世代への負の遺産もどんどん増加します。

停止すれば、燃料の崩壊熱は徐々に下がりますから、比較的安全なドライキャスク保管ができるようになります。
廃炉前提にすれば、原発の管理コストは大きく下げられると思われます。

もちろん、電力会社は、儲けになるからやりたいのでしょうけど、廃炉コスト、10万年にわたる高レベル核廃棄物の管理コスト、再事故に備えた保険料または積立をしても利益は残るのでしょうか?

水素貯蔵は、私は難しいと思います。極めて爆発しやすい物質なので、爆発事故が頻発してしまいそうです。液化や圧縮は大きなコストがかかりますし、気体のままではエネルギー密度が低過ぎます。

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