なんでも「量子影」というわけの判らない理論を使った太陽電池のようです(太陽電池の効率を66%まで高める手法、”量子影状態“の発見で可能性が開く)。ここまでひねくれた理論(笑)になると理解困難ですが、何となくイメージは掴めるので、少し説明にチャレンジしたいと思います。
以前このブログで「量子ドット」太陽電池について説明する時に、「太陽電池は一定のエネルギー以上の波長の光しか電気に変換できない」と言うことを書きました。実はこの時には説明を省略したのですが、太陽電池は「一定のエネルギー以上の波長の光」に対しても「一定のエネルギー分」しか電気に変換できません。従って、「一定のエネルギー」を超えた分のエネルギーは無駄になるわけです(下図)。
「量子影」が何か良く判りませんが、無駄になっているエネルギーを貯めて、「一定のエネルギー」以上にして発電に寄与させるもののようです。ただ、「一定のエネルギー以下の波長の光」を有効に使うのか、「一定のエネルギーを超えた部分」を有効に使うのかは良く判りません。記事を読んでいると何となく「一定のエネルギーを超えた部分」を有効に使うためのように思うのですが、それだけで変換効率66%を実現するのはかなり難しそうなので、両方に効くような気もします。
いずれにせよ、現時点で実現可能なのはフラーレンという特殊な材料を使った有機太陽電池らしいので、まだ実用には程遠いのではないかと思います。それでも「変換効率を44%まで高めることができた」とあるのは驚異的です。(ひょっとすると記者の勘違いかもしれませんが・・・。)
量子井戸、量子ドット、量子影といろいろな太陽電池が出てきました。量子と言うのは難しい言葉ですが、例えばエネルギーのような連続的に変化すると思われる量が、ミクロに見れば微量のエネルギー粒子の集合と見られることを言っていると思っておけば良いでしょう。
わけの判らない理論のためにわけの判らないことがおこるわけですが、このように有益なことも起こるところが科学の魅力ですね。
まぁ、いずれの太陽電池も未来技術で、すぐにどうと言うことではないでしょう。まだまだ科学者には頑張ってもらわなければなりません。
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