CISというのはCopper-Indium-diSelenideの略で、銅とインジウム、セレンなどを使った化合物系の太陽電池のことです。日本ではソーラーフロンティアが作っています。CIS太陽電池の変換効率はあまり高くありませんが、コストパーフォーマンスが良いので好む人も多く、太陽電池市場の1割ぐらいかそれ以上のシェアを確保していると思います。
皆さんもご存じのように、最近の太陽電池市場は中国などの途上国からの攻勢が強く、老舗の日本勢が苦戦するなかで、ソーラーフロンティアだけは生産増強するなど、強気の戦略を維持しています。
ところで、CIS太陽電池(あるいはソーラーフロンティアの太陽電池と言うべきか)は実発電量が高いということで定評があります。また、実発電量が高いのは光照射効果のためというのも有名です。しかし、CISの光照射効果というのは何なのか、Webで少々探してみてもアカデミックな説明は見当たりませんでした。周りの人に聞いてもみんな知らず、まるで神秘的な現象のように取り扱われていました。
しかし、最近、光照射効果というのは単にソーラーシミュレータと自然光のスペクトルの違いによるもの(つまり工場の出荷試験の時に使う光源が正確でなく、太陽光の時より低く測定してしまうということ)という話(CISの発電量について)を聞きました。
確かに、Si太陽電池の波長感度は1.1umぐらいまでなのに対し、CISは1.3umぐらいまであり、しかもソーラーシミュレータのこの辺りの波長の光は正確に決められていないようです。これは説得力のある説明ですが、1割も誤差を生じる測定で良いのだろうか、と突っ込みたくなってしまいます。もっとも、これは買い手側に得な誤差なので(つまり実発電が多くなるので)、問題にはなっていませんが。
更にwebを見ていますと、メーカーのソーラーフロンティアでもこのことを指摘していました(ギガワット時代のCIS系太陽電池)。するとメーカーはこれを知っていながら放置していたのか???
CIS太陽電池に関しては他にも「???」と思うような評判があります。次回にもう少し触れたいと思いますが、そういう評判についても、私の想像するところですが、ソーラーフロンティアは放っているような気がします。
どうもソーラーフロンティアは大勢に影響がなければ、面倒なことには手間暇かけずに放っておいて、生産と販売に専念する方針なのではないか、このように割り切っていることが中国などの攻勢に対抗できている一因になっているのでは・・・、と思わずにいられないのですが、皆さんはどのように思われるでしょうか。
リンクありがとうございます!
「実発電量が高いのは光照射効果のためというのも有名です。」
とのことですが、光照射効果はあくまでも「光が照射されて発電量が増加する現象」であり、実発電量が優れる原因の1つではあるかもしれませんが、あまり本質ではない気がしています。
また「光照射現象らしきもの」と「その後の劣化」についてのデータは一応ココで紹介させて頂いてます。
http://minori-solar.com/?p=782
他にも探していますが残念ながら今のところ見つけられていません。
CISの劣化が大きいというデータは私も見たことがあります。
民間のセミナーで表示されただけで、手元にデータがないので、何とか入手できないかなと思っています。
製法的にCISは劣化が大きくてもおかしくないと考えられますが、もうちょっと情報がないと・・・。
また、SF社の業務姿勢にも少し手抜きなところがあるように感じられるので、この辺りももう少し情報が集められないかと思っています。
CISは経年劣化しにくいとも言われていますが、実はこれは誤解でシリコンよりも劣化がひどい可能性があります。3年目以降の劣化率は傾きが急になっており、この状態が続けばかなり劣化する可能性があります。
定格を基にしていますので、劣化が少ないように見えますが、光照射後(?)の下駄を履かせた状態を基準にするとそれなりに劣化します。
しかも、登場してから20年経っていないので、5年経過データを単純に5倍しています。光照射効果(?)も5回(!!)加えています。こういった誤りにSFは気づいているはずなのですが、自社に有利なので知らないふりをしています。
SFのホームページには、劣化に関しては一切の記載がありません。
当社が発表したことではないと、後でクレームが来た時に対応をすると思います。
哀れなのは、CIS愛好家の人々ですね。狂信的なユーザーはこういったことを認めたくないようで頑なに拒否します。