さて、昨日に引き続きCIS太陽電池についてもう少し書きたいと思います。CIS太陽電池について良く聞く噂には、影に強い、熱に強い、低照度に強いというものがあります。これらについてです。
1. 影に強い
太陽電池モジュールは多くのセルが直列に接続されているので、この内一つセルでも(影に入って)電流が減ると全体の電流が減ってしまうという弱点があります。これを避けるためにバイパスダイオードが使われますが、完璧なわけではありません。特に結晶系の太陽電池はセルが正方形なので、1-2個だけが影にすっぽり入ってしまうということは容易に起こり得ます。これに対し、CISは(アモルファス太陽電池もそうですが)セルが非常に細長いので、一つだけ影になるという現象が起こりにくくなります(勿論、建物の影などが細長く入る可能性はあります)。従って、影に強いということは言えるでしょう。ソーラーフロンティアも上記のような理由を説明し、影に強いことを明確に提示しています。
2. 熱に強い
私の自宅屋根太陽光発電はCISを使っています。設置して1年以上経ちますが、熱の影響に関しては結晶シリコンと同じかむしろ大きいのではないかという印象を受けています。CISはアモルファス太陽電池と同じく薄膜型の太陽電池で、アモルファスは見かけ上、熱に強いことを以前説明しました(アモルファスシリコン太陽電池の光劣化と温度特性)。CISも同じ薄膜太陽電池なので、アモルファスと同様に熱に強いと誤解されているのではないかと思います。
3. 低照度に強い
これもなぜこのような噂が生じたのか良く分かりません。想像するに、まず上記①に述べた影に強いことからの誤解、もう一つはアモルファスが室内光に強い(アモルファス太陽電池は蛍光灯に強い)のでCISも同じだと誤解されたことなどが理由として考えられます。別にアモルファスも低照度に強いわけではなく、蛍光灯などの室内光に強いだけで、分光感度のことなるCISは室内光にも強いとは言えません。
上記の内、②と③はユーザーの間で勝手に広まったものだと思います。ソーラーフロンティアはこのような説明をしていないと思いますし、またこれらを裏付けるデータを見たことがありません。
これら以外に劣化に強いという噂もありますがこれも怪しいと思っています。次回、これについて少し触れたいと思いますが、具体的データを持っていないので、あくまで参考意見として指摘しておきたいと思います。
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