太陽電池の動作を表す指標として最大電力や開放電圧、短絡電流などはよく使われますが、直列抵抗というのはあまり使われていないようです。これは太陽電池固有の抵抗のようなもので、直列抵抗とかシリーズ抵抗とか言いRsで表されることが多いようです。あまり使われない指標をなぜ取り上げたかと言いますと、太陽電池の保守では結構使われることがあるからです。昨年もこのブログで取り上げましたが、重要だと思いますので再度取り上げます。
この直列抵抗はどれぐらいの値になるかというと、普通の太陽電池パネル(15cm角ぐらいのセルを60個つないだもの)で0.7-0.8オームぐらいというところでしょう。直列抵抗は名前の通り抵抗なので、パネルが直列につながっていると全体の直列抵抗は足し算になります。例えば、1ストリングに10パネル直接接続されていると、全体の直列抵抗は7-8オームになります。並列になっている場合はいわゆる抵抗の並列計算になります。
直列抵抗は太陽電池固有の抵抗のようなものと説明しましたが、実際に抵抗器が太陽電池の中にあるわけでなく、従ってそれを測るのも困難です。このため便宜的にIVカーブでVoc近辺での抵抗値を直列抵抗とすることにしています。Voc付近ですと太陽電池の半導体特性がかなり消えているので、この辺りでの抵抗は太陽電池固有の抵抗値に近くなります。図で示すと下のようになります。メーカーの資料で直列抵抗が示されていない場合は、この図のようにして求めればよいわけです。
もちろん、抵抗なので電力ロスになりますから、この値は小さいほど良いということになります。しかし初めは良くてもパネルが劣化するとこの値が大きくなって来ることがよくあります。また、セルやパネル、システムに問題が生じると新たな抵抗が発生することもよくあります。こういうことから、直列抵抗を測ってパネルや配線などの状況を知るというのが保守の一つの手段として用いられるようになりました。
ただ直列抵抗だけで太陽光発電システムを診断するのはなかなか難しいのでいろいろ工夫が必要です。太陽光発電システムの保守でよく用いられるソラメンテやソコデスも直列抵抗を評価の一つの指標としているようですが、使いやすくするために工夫しています。
次回はそれについて触れていきます。
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