普通の設備の完成検査では設備の定格が得られることを確認すれば良いでしょうが、太陽光発電では定格動作の確認は簡単ではありません。このため完成検査で何をするかは難しいところがあります。
太陽電池の定格は日射が 1kW/m2 の強度でパネルに直角にあたり、かつパネル温度が25度の時の出力で決められます。しかしこの条件は簡単には得られません。次善の策として、この条件に近い日を選んで、だいたい合っているかどうか確認しようとしても、完成検査の時点では連系されていないので(連系はふつう引き渡し後に行われる筈です)、太陽電池の出力を確認することができません。
このことを指摘して、業者に完成検査をどうしようか相談したところ、ストリング毎に電圧測定するという返事がありました。しかし、電圧測定では動作確認が不十分です。これは次のような理由からです。
上の図はいくつかの日射強度に対する太陽電池特性(IVカーブ)を示したものです。
図のように太陽電池の特性は日射の変化に対して電流はほぼ比例して変化しますが(縦軸方向の変化)、電圧はあまり変化しません(横軸方向の変化)。日射が少々弱くても電圧はそれなりに出ます。従って電圧測定だけで動作を確認したというのは無理があります。
電流を見れば日射に応じた量となるのである程度確認できますが、電流を測るのは容易ではありません。連系されていないからです。系統連系されていない状態で電流を測ろうとすれば、短絡するしかありませんが、何kWもあるストリングを短絡するのは危ないので、やりたくありません。
結局、完成検査をどうするかは結論が出なかったのですが、業者は後の保守の事もあるので、完成時までに「ソラメンテ」を用意し、実際の完成検査はソラメンテで行いました。
完成検査の時は、このような電気検査だけでなく、他にも目視検査などを行いました。次回は、実際に行った完成検査について報告します。
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