フィルム型太陽電池と言うのは昔からよく提案されています。古くはアモルファスSi太陽電池、最近では有機太陽電池やペロブスカイト太陽電池などがあります。その有機太陽電池についてのニュースがありました(貼れるフィルム型の太陽電池、積水化学が居んさt技術で量産へ)。ニュースのポイントは量産化と事業化ということでしょう。
量産化にはロール・ツー・ロールの技術が使われていますが、この技術もフィルム型では良く使われているもので、そこに製膜する技術に工夫して、低温で膜質を損なわずに量産することができたのでしょう。
この技術を開発した積水化学は2017年度中に発売し、2025年には100億円規模の事業を目指すそうです。「薄い・軽い・曲げられる」というフィルムの特徴以外に「低照度感度」を利用して、屋内などでの用途を狙っているそうです。
しかし、「低照度感度」というのは何でしょうね。「低照度でも良く発電する」という意味に聞こえますが、実際には低照度でも高照度でも太陽電池の変換効率はほとんど変わらないですから、あまり意味はない筈です。
かつてのアモルファスSi太陽電池も低照度感度があると言われたことがありますが、これは可視光に対する変換効率が結晶Siより少し良かったことを曲解して言っていただけでした。おまけにアモルファスSi太陽電池の場合は、強い光にあてると劣化するという致命的な欠点があるため、「低照度感度」があるとでも言って、強い光で使うのを避けなければならないという情けない事情がありました。太陽に当ててはいけない太陽電池です(笑)。
実は私はこの有機太陽電池も同じような事情があるのではないかと疑っています。ふつう、フィルムというとポリマーのフィルムのことを指しますが、ほとんどのポリマーフィルムは対候性が悪くて特に光に弱く、太陽光下に置かれると1-2年でダメになるのではないかと思われます。
対候性のあるフィルムもありますが、高価でガラスよりも高く、それでも太陽光下では2-3年しか持たないのではないかと思います。有機太陽電池自体の対候性についてはよく知りませんが、フィルム上に作られるとやはり対候性は悪くなり、太陽光下で使うのは厳しいだろうと想像しています。そういうことからこの太陽電池は屋内での用途を狙っているのではないでしょうかね。
ま、こういう表現は営業戦略の一つですからそれはそれで良いとして、屋内用途の太陽電池市場がこのフィルム太陽電池で開けるかどうかが課題です。積水化学はIoTの普及で室内での独立電源のニーズが高まっているという読みのようですが、どうなることでしょう。
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