太陽光発電の動作チェック17 (接触不良)

太陽電池によっては接続不良がたまに見られます。本当はあってはならないのですが・・・。

 

前回まで説明していたセルの不良による発熱と異なり、接続不良による発熱は小さな面積で集中的に起こることが多いため、異常加熱になりトラブルを引き起こしやすいと言えるでしょう。

 

接続不良が起こりやすい個所はセルとセルの接続(タブの接触不良)や端子ボックス(モジュールの裏にある)での接続箇所などです。

 

まずタブの接触不良について考えます。

 

タブというのはセル同士を接続する細長い金属で、片方のセルの表のバスバーと隣のセルの裏のバスバーを接続するようにハンダ付けされています。

タブ

タブはバスバーにしっかりとはんだ付けされているはずですが、太陽電池をラミネートした時や長期の使用中にストレスがかかり、はんだ付けが外れたり弱くなったりすることがあります。ゆるんだり外れたりしたタブが中途半端にバスバーに接触していると、電気抵抗が生じて、熱を発生します。当然、出力も落ちます。

 

製造段階で起こった不良は出荷試験でNGとなりますが、出荷試験段階ではOKでも長期使用中に接続不良になってしまうことがあります。このようなものは現地で調べるしかありません。発熱を伴うトラブルなので、サーモビュアーによって調べるのが一番手っ取り早いでしょう。

 

さて、

タブには2Aほどの電流が流れています(3本バスバー全体で8Aほどになる)。例えば、接触抵抗が1オームほどあったとすると、そこで消費される電力は2Wほどになり、これは少ないように思えますが、接触がわずかな面積になっているような場合はかなり温度が上がります。サーモビュアーで見ればタブに沿って色が変わるはずです。(サンプル写真があればよいのですが・・・。)

 

このように接触抵抗があるセルがモジュールに混じっている場合、IV特性はどのようになるでしょう。

前に直列抵抗について説明したことがありましたが、この直列抵抗が増加したと考えてよいと思います。従って、IVカーブの傾きが寝て、下図のようになります。

高抵抗セルIV

 

前に説明しましたように、直列接続の場合は各セルのIVカーブを横向きに足せば全体のIV特性が得られます。抵抗の大きなセルは上図のように電流は減らずに曲線が寝ているだけなので、簡単に横に足していけます。結果は下図のように、本来のIVカーブよりやや曲線が傾いているだけの特性となります。

高抵抗IV特性

 

つまり少し対抗が高いというだけで、その他は通常通りです。抵抗の高いセルの電圧がやや低くなるだけで、その他のセルは普通に発電します。ストリング全体でも電圧がやや下がるだけで、通常に発電します。従ってバイパスダイオードは通常通り逆方向に印加されるので動作しません。(下図のように通常発電ならバイパスダイオードは逆方向に印加され動作しない)。

通常バイパス

 

バイパスダイオードが動作するのは、タブが完全に断線した時か、前回説明したようにセルの異常で電流が極端に減った時だけです。バイパスダイオードが動作すると熱を発生するので、端子ボックスの温度が少し上がると見られます。また、そのバイパスダイオードがバイパスしているセルのどれかで異常があるはずで、そのセルも発熱すると考えられます(残念ながらサンプルの写真がありません)。

 

一方、接触不良の時はその接触箇所がスポットで高温になりますので、サーモビュアーで見ればすぐに発見することができるでしょう。

 

—–

端子ボックスでの接続不良の時も、そのスポットが高温になります。端子ボックスでの接続の場合、8Aほどの電流が流れていますので(バス3本分の電流が一緒になっているため)、かなり高温になりやすく、表から間接的に見るサーモビュアーの観察でも見つけられることが多いようです。

 

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接触不良による発熱はスポットで高温になるため、サーモビュアーでは見つけやすいと思いますが、接触不良による抵抗はほんの数オームかそれ以下なので、ソラメンテやソコデスで見つけることは困難だと思います。ソラメンテやソコデスで見つけられるのは完全な断線の時でしょう。逆に、完全に断線してもバイパスダイオードが正常に作動していると、サーモビュアーだけでは見つけにくくなります。

 

太陽光発電の動作状況をよく知るためには、いくつかのデータを見比べながら検討していくことが望まれるようです。

 

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