IVカーブと直列抵抗についての話の続きです。もう少し技術論にお付き合いください。
前回に加えて伝えておきたかったことは、モジュールの直列抵抗とストリングやアレイでの直列抵抗の関係、そしてシステムでの直列抵抗の推定の方法です。
まず復習です。
太陽光発電ではモジュール(パネルのこと)でもストリングでもアレイでも、直列抵抗はVoc点での抵抗でほぼ決まり、それはVoc点でのIVカーブの電圧変化分を電流変化分で割って求められます。この抵抗値はVoc点の接線の傾きに相当しています。従って、モジュールの直列抵抗は、そのモジュールのIVカーブを手に入れることができれば、算出することができます。
さて、
太陽電池(この場合、太陽電池モジュールとお考えください)自体の直列抵抗はその電池固有の抵抗といっても良いでしょう。(半導体特性は含まれていないため)
ストリングはモジュールをいくつも直列につないだもの、アレイは更にストリングをいくつか並列につないだものです。これらの直列抵抗は太陽電池モジュールの直列抵抗と配線などの抵抗を合わせたものになります。
今回の測定はストリング毎が対象ですが、アレイの構成とストリングや測定点の関係を表すと下図のようになります。
(すみません、どうも図のアップロードがうまくいかず見にくくなっています)
測定対象は太陽電池モジュールを7つ直列につないだものなので、太陽電池モジュールの抵抗は7倍の値となります。これに配線抵抗などを加えたものがストリング全体の抵抗値となります。
モジュールの抵抗値は各モジュールのIVカーブから得ます。今回、測定対象モジュールのIVカーブはカタログに記載されていました。ちょっと小さくて見づらいですが、下図です。
(やはりアップロードがうまくいかないようです)
上の図のようにIVカーブはいくつかの日射強度や(パネル)温度に対して示されることが多いようです。太陽電池は様々な条件で動作するので、このようにいろいろ示してもらう方が便利でしょう。今の季節なら日射は400-800W/m2、温度40°ぐらいの条件となるでしょう。
図が小さくてわかりにくいですが、上図のVoc点の接線はどの曲線であっても1Ω弱ぐらいに見えます。とりあえず直列抵抗の推定はこれぐらいのラフなもので良いでしょう。
測定対象のストリングでは、このモジュールが7つ直列です。1Ω弱の抵抗を持つモジュールが7つ直列ですから、全体の直列抵抗は7倍の7Ω弱となるはずです。多分5-6オームぐらいではないかと見られます。これに配線抵抗を加えても、ストリング全体での直列抵抗は10Ωにもならないでしょう。
「ソラメンテ」の測定値の20Ωが高いと、また「ソコデス」の測定値の10Ω以下が実際的と感じたのは上記のような背景からでした。
なお、測定の後、モジュール代理店に(アップソーラー)直列抵抗を問い合せました。答えは0.62Ω(この場合は標準状態の1000W/m2、25°)で、ほぼこちらで想定した通りでした。
さて、ずいぶんと面倒な技術論を続けてきましたので、次回からは話の内容を変える予定です。「ソラメンテ」で測定された抵抗値がずいぶん高かったので、メーカーにその理由を問い合せました。そのやりとりが面白かったので、紹介していきたいと思っています。
ただし次回はもう一度、今回利用した測定器について再整理してから、そのやり取りの紹介に移っていきたいと思っています。
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