昨日のブログで超格子や量子ドットはシリコンなどの太陽電池では超えられない理論限界を超える太陽電池を作るため検討されている新材料開発技術であることを説明しました。
理論限界以上の効率の太陽電池を作ろうとすると、いろいろな波長の光を吸収して電気に変換していくことが必要ですが、自然に存在する材料では実現できません。そのために人工的な新材料を作ることに挑戦しているわけです。
新材料を作るためにまず考えられる方法は、自然に存在するものを混ぜることです。しかし、太陽電池は材料の原子がきれいに並んでいる時の光・電気的性質を利用して作られています。一方、普通に異なる材料を混ぜてもなかなか太陽電池として使えるように原子がうまく並んだ状態にすることができませんでした。
そこで行われたのがそれぞれの材料だけを数原子層ずつうまく並べて膜を作り、それを積み重ねていく方法です。それぞれの材料だけで膜を作る時に原子をきれいに並べる技術は、半導体の技術として既に開発されています。このような膜を重ねていくと、それぞれが結晶だった時の性質が残り、積み重ねることでそれらが融合した新しい材料ができます。
量子ドットの場合は膜と言うより粒(ドット)を並べたようなものになりますが、原子をきれいに並べてドット作り、それを規則正しく並べていけば、膜を重ねた時よりもっと複雑な効果を持つことができます。こうして新しい材料を開発します。
理論的な話はこれぐらいにして(あまり正確ではなかったですが)・・・、
このような方法で新材料を作る研究が蓄積され、どのような材料をどのように組み合わせるとどのような性質になるかだんだん判ってきたようです。しかし、理論的に判っても実際に材料をそのように細かく、しかも原子をうまく並べて積み重ねていくことは簡単なことではありません。
従って超格子や量子ドットの話は理論的な面が先行していますが、実現という面ではまだうまく行ってないことが多いようです。量子ドット太陽電池で理論効率が70%とか80%とか言われているようですが、まだ実現されていないはずです。実際に作ったりしているとは思いますが、理論よりはずっと低い変換効率しか得られていないでしょう。また、今の技術ではとんでもなくコストのかかる太陽電池になってしまうでしょう。
ただ、将来的な可能性があることは確かです。また太陽電池以外の分野で使える新しい材料の開発につながるかもしれません。
世界の科学者の活躍に期待しましょう。
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