新技術開発のニュースと言うのは夢のある明るいものなので、期待を込めて伝えられることが多いようです。それはそれで良いのですが、期待を込め過ぎてしまうことも多いので注意が必要とも言えます。
で、
太陽電池の材料となるシリコン結晶を高品質・安価で製造できる技術を科学技術振興機構が開発したというニュースがありました(メガソーラー向け太陽電池を高効率化、単結晶シリコンの新製法)。タイトルを読むと「おお、これは!」と期待してしまいますが、記事をよく読んで吟味しないといけないなと思いました。
新技術の概要は単結晶製造技術(チョコラルスキー法)と多結晶製造技術(キャスト法)を合わせて、良いところどりをしたような内容です。一般的に、単結晶は高品質で効率の高い太陽電池を作れますがコストがかかると言われています。逆に多結晶は品質・効率は劣りますが低コストで作れると言われています。従って、両者の良いところどりをして、高品質の材料を低コストで作れるようになったというストーリーです。
しかし・・・、
現実の太陽電池では、単結晶のものと多結晶のもので効率やコストに思ったほどの差は有りません。両方の技術を合わせて得られる効果もそれほど大きくないのではないかと思ってしまいます。この記事では具体的な(数値的な)話が無いので、どの程度うまく行ったのか良く判りませんが、うまく行っていたとしても、いわゆる技術改良のレベルではないかという感じがします。その割にタイトルが強すぎますね。
多分、この研究は国の補助金を得て行われているものだと思います。補助金を得るために研究者はどうしても研究成果を強調して発表する傾向にあります。それは悪いことではありません(むしろ共感できます)が、聞く側はそれを考慮して聞いておかなければなりません。特に記事を書く記者は十分これを認識しておかなければならないでしょう。
まぁ、そうは言っても夢を持つことは悪いことではないので、割り切ってこういうニュースを楽しむというのも良いでしょうね。
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