またまた凄い変換効率が報告されています(ペロブスカイト薄膜太陽電池で変換効率60%超の可能性)。ペロブスカイトと言うのはある結晶構造をもつ材料を言うのですが、近年、ペロブスカイト系材料で太陽電池が作れることが発見され、低コストで作れそうなこと、短期間のうちにかなり高い変換効率(確か10数%)に達したことから注目を浴びています。ただまだ安定性が良くないなどの理由で実用化はされていません。
そのペロブスカイト系太陽電池で変換効率60%が可能なのだそうです。まぁ、タイトルも記事も「可能」と書いてあるだけで、実現したとは書いていません。これで60%の太陽電池ができたと早合点した人がいたとしたら、その人の方が良くないですね(笑)。
で、一体どんな新技術が開発されたのかと思って読んでみましたが、特にそれらしきものはありませんでした。この報告は、「ペロブスカイト材料ではホットキャリアの寿命が長いので、変換効率が大幅に上がる可能性がある」というような内容です。つまり、ペロブスカイトには変換効率を大幅に上げる可能性のある性質があることを発見したという報告です。
ホットキャリアと言うのは、普通のキャリア(電子やホール)以上の「ホット」なエネルギーを持ったキャリアのことです。ただ「ホット」の状態からすぐに普通の状態になってしまうので、「ホット」のエネルギーを外に取り出すことはできませんでした。ペロブスカイトでは「ホット」である時間が十分に長いので、外に取り出せる可能性があるということです。
それはそうかもしれませんが・・・、「ホット」のエネルギーを外に取り出すというのは時間があっても簡単ではありません。そういう新技術が開発されたらペロブスカイト太陽電池の変換効率は大幅に上がるというだけなので、要するにまだ大きな「たられば」が残っている訳ですね。
とは言え、科学技術の発展はこういう細かい技術の進歩に支えられている訳ですから、疎かにはできません。先日の神戸大学の50%以上の可能性(変換効率50%を超える太陽電池ができると言っても)と言うのも同様ですね。こういうものを大事に積み重ねていって、太陽電池の効率が上がっていって欲しいと思います。 できれば日本から・・・。
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