パナソニックがHITの温度特性を改善しました(HIT量産レベルとして世界最高水準の「-0.258%/℃」を達成)。ちょっとややこしい話ですが、次のようになっています。
太陽電池は温度が上がると効率が低下するという特性を持っています。普通のシリコン太陽電池では温度が1度上がると約0.5%特性が低下すると言われています(-0.5%/度)。この特性低下を0.258%に抑えた(-0.258%/度)というのが今回のニュースです。
太陽電池に日があたると温度の上昇は避けられません。まともに日が当たると周囲よりも20-40度も温度が上がります。太陽電池の定格は25度の時に測られますが、実際の動作では50度から70度になっていて、それだけ効率が下がります。
もし、太陽電池が65度になっていたとすると、定格測定時よりも40度も温度が上がっていることになり、定格よりも効率は落ち、普通のシリコン太陽電池ですと温度変化が-0.5%/度ですから、
0.5%/度 × 40度 = 20%
と、2割も効率が下がります。定格での変換効率が20%としたら、2割下がって16%になってしまいます。
ところが今回発表されたHITですと温度変化が0.258%/度ということなので、40度温度が上がっても
0.258%/度 × 40度 = 10.32%
と、1割ほどしか特性が下がりません。定格での変換効率が20%としたら1割下がっても18%に留まることになります。
普通のシリコン太陽電池に比べて高温時の動作は1割ほど良いですね。もっともHIT太陽電池はもともと温度特性が良く、改善前のものでも効率の温度変化は0.29%/度と小さかったので、今回の新しいHITでは、それが少し改善されただけです。いずれにせよ、普通のシリコン太陽電池よりずっと良く、それがさらに改善されたということは歓迎すべきことです。
しかし、このニュースに私は不満があります。データの扱い方が気に入らないのですが、それについては次回説明します。
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