この前の産総研の成果報告で、GaAs太陽電池の低コスト製造方法が報告されていました。私はあまり気に留めていませんでしたが、結構、ニュースになっているようです(「製膜コストを10分の1に」GaAs太陽電池の普及へ、低コストな製造方法を開発)。H-VPEと言われる製造方法です。
GaAs太陽電池の製造には真空プロセスを使うため、装置コストがかかるだけでなく、生産性もあまり良くありませんでした。今回、産総研が開発したプロセスは常圧で製造できるため、装置コストは下がり製膜速度が上がります。その結果、製造コストが大幅に下がるらしく、開発目標として7円/kWhの実現を目指しているようです。
GaAsは気体原料から作られますが、一般的に気体から固体の製膜をする時には真空プロセスが使われます。常圧では気体の粘度が高く混ぜたり均等結晶成長させたりするのが困難なためです。産総研ではそこを工夫して常圧で製膜することに成功したようです。報告もそのあたりの工夫が説明されていました。
同じような試みは既にアメリカのNRELが行っていて、今回の開発は二番煎じ的なところがありますが、NRELと同等の効率の太陽電池ができたそうです。
ただ、製造方法を見るとまだ太陽電池を一枚ずつ生産する段階のようで、本当に低コスト製造方法となるためには一度に大量枚数の製膜をできるような工夫が必要になって来るでしょう。他にも太陽電池の効率を上げるなどいくつもの開発が必要と思いますが、取りあえずGaAsの製膜が低コストでできる可能性が示されました。
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