姫路で太陽光パネルが自宅横に設置され、反射光で室温が52度にもなったという被害訴訟の経過調査の続きです。少し復習ですが、下のGoogleマップの写真で黄色の線で囲んだところがメガソーラー、横の赤い丸で囲んだところが被害者宅。被害者宅はメガソーラーにかなり密接し、また他の家と違って少しパネル方向に向いているため反射光の被害を多めに受けるかな、と言う位置にあります。
で、いよいよ被害者は学者による被害の正当性を主張し始めました。私は室温の異常上昇を立証するのは無理だろうと思っていましたが、この学者はなかなか面白い話を展開しています。それを紹介します。
立証を行ったのは岡山大学大学院環境生命科学研究科の西山哲教授。立証では最初にパネルからの反射光が被告部屋に入射していることの確認から始まります。パネルと言っても1MWもありますから大量ですが、その中のアレイの一つからの反射光の方向を計算して、6:45から8:00のあいだに被害者の部屋に入っていることを確認しています。そして、アレイは大量にあるので最大6:00から11:00頃まで被害者の部屋に入っているだろうと推定しています。
そして、ここからが面白いのですが、被害者部屋の室温の変化を下の図のようにグラフ化し、9:00頃までは温度上昇が大きく、その後の温度上昇が緩くなっていることを指摘しています。9:00までは太陽の直射光に加えパネルからの反射光が部屋に入っているので、室温の異常上昇はパネルからの反射光の影響の可能性があると指摘しています。
温度上昇のカーブに注目するというのは、良く考えましたねぇ。しかし提出された文書の結論としては、「程度はともかくパネルの反射光により、太陽の直射光だけによる室温上昇以上に室温が上昇した可能性がある」と言うような表現で、少し弱気でした。「・・・可能性がある」と表現しておけば、どのような結果になってもウソをついたことにはなりませんから。
前回の調査からは、この理論的な立証が提出されたことが大きな進展です。その他にも被害者はいろいろ不満を並べていましたが、感情的なものが多くここでは省略します。ただ驚いたことに、最後の主張で被害者は、「名目はともかく損害賠償に応じれば和解に応じる用意がある」と急に弱気に変わっていました。どうしたのでしょう??? 学者と話をして勝訴するのが難しそうだと思ったのでしょうか?
これに対する被告側の反応もありましたので、次回報告します。
この訴訟のように室温が上がるようなことはまず起こらないでしょうが、反射光の問題は十分に考える必要があると思います。基本的には反射光が当たるようなところには遮蔽物を入れるしかないでしょう。この訴訟でも植樹で反射光を遮るようにしています。
屋上発電をしている者ですが、パネルの設置に当たっては反射など近所への影響にかなり気を使いました。
住宅地に隣接したメガソーラーは迷惑施設に他ならないと思います。温度は問題のごく一部に過ぎません。反射光が下から差してきたら軒で防ぐことも出来ず、窓も開けられないのではないでしょうか?
私自身も隣接した太陽光パネルから毎日目を射るような光が差して来たら黙っていられない気がします。
パネル設置を業務にしている方は一般人以上に注意が必要だと思います。訴訟になったらたとえ勝訴してもダメージは免れません。事前の説明と同意、バッファー帯の設置など規制に無くとも考慮する必要があると思います。