屋根一体型の太陽光パネルから発火したという記事がありました(瓦の影で太陽電池パネルが発熱・発火)。ホットスポットやバイパスダイオードの話が絡み、参考になりましたので取り上げてみます。
まずパネルが発火して焼損した屋根の写真が下図です。かなりやられていますね。
発火の原因は瓦の一部が下にずれて太陽電池の上に重なって、そこにホットスポットを作ってしまったことがきっかけのようです(下の写真)。
このホットスポット自体は直接の発火源ではありませんが、間接的に発火の元となりました。まずホットスポットができたために、そのパネルのバイパスダイオードが動作しました。その状況で長期間バイパスダイオードに電流が流れ続けたため、バイパスダイオードの発熱で周辺の劣化が進み、電気接続の抵抗が増加してますます発熱が酷くなり、遂に発火に至ったと説明しています。発火したのはバイパスダイオード周辺と言うことになりますね。
分析を行ったのは消防局の人ということですが、消防局の人の太陽電池に対する知識もかなりのものですね。正しい分析だと思います。
下の写真は正常な状態のバイパスダイオードの接続状態と、その下に今回の火事で焼けてしまった接続端子を並べてあります。端子はかなり酷く焼けてしまっていますね。やはりここが発火源なのでしょう。
今回の焼損は太陽電池セルの一部が瓦で隠れてしまって生じたもので、バイパスダイオードに流れた電流は、瓦で隠れた部分の太陽電池電流に相当する量になります(これ重要!)。瓦が太陽電池に重なっている写真を見ると、隠れているのはごく一部分なので、バイパスする電流はそれほど大きくなかったと思われます。それでも発熱・発火したというのは、バイパスダイオードの容量や接続あたりにも問題があったように思います。
瓦が太陽電池と重なったことが元の原因ですが、写真を見ると太陽電池と瓦の配置にほとんど余裕は無く、ちょっとしたことで重なってしまうように見えます。別にパネルメーカーを責めるつもりはありませんが、今回の事件を教訓にこの屋根一体型太陽電池はもっと安全に改良できるような気がしますけれど、メーカーはどのように対応したのでしょうか。気になるところです。
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