太陽光発電で、太陽電池の容量をパワコン以上にすることを過積載と言います。
たいていの過積載システムは50kWのパワコンに対し、それ以上の太陽電池を接続したシステムになります。これは電気事業法上、50kW以下で低圧連系の太陽光発電システムは一般用電気工作物という設備に分類され、規制がほとんど無くなるという利点があるので、それを利用し50kWで最大限発電するためのテクニックと言えるでしょう。
ただ、太陽電池は日射を受け温度が上がると出力が下がるという性質を持っていて、通常の日射下では太陽電池出力は定格の8割ぐらいになります。従って、太陽電池をパワコン定格の1.2倍ぐらいの比率にしてもパワコン定格内の出力に収まります。
それ以上の比率で太陽電池を大きくすると、ピーク時には太陽電池の出力はパワコンでカットされてしまいますが、ピークでない時には大きな発電量が得られるので、うまく過積載の比率を選べば全体としては大きな発電量を得ることができます。
今の太陽電池コストだと、大体、過積載の比率を1.5倍、1.6倍ぐらいにするのが良いところではないかと思いますが、あまり自信はありません。
さて・・・、
私は、このテクニックは低圧50kWのメリットを活かすためだけに使われると思っていました。しかし、メガソーラーに対しても過積載が有効なことがあるようです。メガソーラーで過積載をした記事を見つけました(パワコン23台を総合制御、売電量を最大化した半田市のメガソーラー)。
半田市のメガソーラーは19.5MWあり、限られた敷地に太陽電池をできるだけ多く敷き詰めています。敷き詰めると冬の影の長い時期にはアレイの影が次のアレイにかかることもあるようですが、間隔を詰めてより多くのパネルを敷き詰めることで、全体としての発電量を大きくできるそうです。
また、状況によっては、影の入っていないアレイの出力が過積載でパワコン以上になっていることがあるため、そのような時に影になっているアレイの損失分をカバーできるように、各パワコンにはオーバーロード機能を持たせ、全体で出力を最大化できるよう制御しているようです。
本当にそんなことができるのかと思ってしまいますが、この記事では年間400万円ほどの増収(0.4%アップ)になったと報告しています。19.5MWの発電所で年間400万円の増収と言ってもほとんど誤差の範囲なので、本当かどうか私としてはまだちょっと確信を持てません。
ただ、「どうしても電柱を南に設置せざるを得ない」などの影の制約のある場所では有効な方法だろうとは思います。
一つ残念なのは、この技術は北米で開発されたもので、日本の独自技術ではないという点です。この技術がどれほど有効なのか良く判りませんが、日本からもいろいろチャレンジして、このような工夫がどんどん出てきてほしいですね。
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