昨日は自家消費型太陽光発電の経済性を試算してみましたが、次に今ホットな話題の卒FIT住宅にバッテリーを設置する場合の経済性について、私の考え方を書いておきたいと思います。以前にも同じようなことを書いた気もしますが、もう一度整理してみます。
まず、卒FITの場合、太陽光発電システムは投資を回収したものと考えます。従って、電気はタダで発電できますが、それをバッテリーに充電してから放電させるときのコストが電力会社の電気より安いかどうかで経済性が決まります。
ここで難しいのは太陽光で作った電気のうち、どれだけをバッテリーに蓄えてから放電することになるのか判らない点です。基本的には昼間発電した電気をバッテリーに蓄え、夜に放電するのですから、1年間に365回充放電するのが理想ですが、実際には天気や電気の使い方、パネルやバッテリーの容量によって状況は変わりますね。
私は、バッテリー容量を一日の平均的な電気需要に合わせた場合、実質的なバッテリーの利用効率は半分強程度で、一年の充放電回数にして200回ぐらいではないかと思っていますが、ここでは過大評価して300回ぐらい充放電すると仮定しましょう。つまりバッテリー容量1kWhあたり、一年間に太陽光から300回、つまり300kWhの電気を充放電して家庭に電気を供給することになります。
次にバッテリーのコストですが、最近話題のテスラ―社では容量1kWhあたり4.5万円のバッテリーを発表し、安くて話題になっていますが、発表だけでいつ販売されるのか判りません。この価格は衝撃的で、何かと価格が高い日本ではこの倍ぐらいかかるのではないかと思います。つまり大体10万円/kWh。
また、太陽光パネルは30年以上持つと言われていますが、バッテリーはそんなには持たないでしょう。車の鉛バッテリーなどは数年でダメになりますね。太陽光で使われるバッテリーはリチウムイオンで、もっと持つとは思いますがそれでも10年ぐらいじゃないでしょうか。
さて、これで必要な数値は揃いました。まとめると、1kWhあたり10万円のバッテリーで、1年間で300kWhの電気を10年間供給できることになります。そうすると1kWhあたりのコストは
10万円/kWh ÷ 10年 ÷ 300回 = 33円/kWh
やはり高いですね。これでも充放電300回という甘い仮定の結果ですから、実際にはもっと高くなるでしょう。
ただ、バッテリーは今急激に安くなっているという話を聞いています。先ほどのテスラ―の4.5万円/kWhもあながち嘘ではないでしょう(テスラ―が本当に供給するかどうかは別ですが)。それぐらいの値段なら電力会社の電気と同じぐらいになり我慢できるところですが、実際にはバッテリーを導入せずそのまま売る方が簡単で得だと思います(そのまま売ると8-10円/kWhの収入になるので得)。
以上のように単純計算ではバッテリー導入は元を取れない投資ですが、それでも私はバッテリー導入には魅力を感じています。テスラ―のようなコストのバッテリーが出てきたら、少し容量を小さめにして回転効率を良くし、導入しようかと思っています。まだ5年ほど先の話ですけれどね。
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