前に太陽光パネル廃棄費用積立金が課税されることに対し、経営セーフティ共済を利用して税金を取り戻すことが出来そうだとこのブログで報告しました。その記事のコメントを見ていますと、内容を十分には理解してもらえていないようなので、具体的な数値を使って、どれぐらいの節税効果があるのか試算してみました。
まず、試算の前提事項は次の通りです。
太陽光設備コスト 2000万円
年間売上(36円/kWh) 300万円
数値はかなりラフですが、概算ですのでご容赦ください。
設備償却は17年間で、FIT期間は20年間、つまり18年目、19年目、20年目は帳簿上かなりの利益が出ます。FIT期間後は8円/kWhで売り上げは激減しますが23年目まで赤字でも売電し、その後廃棄するとします。
それらを考慮すると年間経費を各期間で少しずつ変わってくると思われますので、ここでは次のように仮定します。
17年度まで 60万円
18~20年度 50万円
21~23年度 40万円
取りあえず、法人税率15%、個人所得税率5%で計算します。実際にはこれに地方税が加わりますので、税額はもう少し大きくなると思いますが、地方税の計算がややこしいので、法人税だけで考えてみました。発電設備を23年目の途中で廃棄するとして、23年目の売り上げ、経費を半分にしました。また、運営している法人は青色申告対象であるとして、赤字の3年繰り越しが可能としました。
試算は次の3通り行いました。
- 何も対策しない場合(ベースケース)
- セーフティ共済を使う場合
- セーフティ共済を使わず、人件費で調整した場合
人件費で調整(利益調整)するというのは、あまり良くない方法ですが、試算のための便宜的に用いた一つの例として見てください。この場合、収益性は人件費と利益の両方で見る必要があります。
- ベースケース
計算結果は下表の通りです。21年目から23年目も運営は続きますので多少の人件費(20年目までの半額の60万円)は払うものとしました。18年目から20年目は設備償却費が無くなりますので、大きな利益が出ます。下表を見てください。
- セーフティ共済を使う場合。
この場合、17年目から20年目までの利益が大きすぎて、これをセーフティ共済に積み立てると廃棄費用の100万円では吸収しきれなくなります。このため21年目から23年目も人件費もそれまでと同額(120万円)支払って、それにより21年目、22年目に発生する赤字を23年に繰り越してセーフティ共済の解約金を消化するようにしました。下表の通りです。
- セーフティ共済を使わず、人件費で調整するケース。
この場合、18年目から20年目の利益を人件費増額で吸収していますが、その分、人件費に対する所得税の増加も計算に入れました。21年目から23年目の人件費はベースケースと同じにしています。下表の通りです。
さて、各ケースでの税金の計算結果を纏めますと次のようになります。税金は法人税と個人の所得税増額分の合計を計算(各表の赤字部分)しています。
ベースケース 59.4万円
セーフティ共済利用ケース 14.4万円
人件費調整ケース 23.4万円
期待通り共済を利用する場合の税金が最少となりました。人件費で調整する方法は利益調整になるので望ましくないやり方ですが、この方法でも人件費の増額分の所得税が増えるので、結局、セーフティ共済を使うのが良いということになります。他にもいろいろ工夫の余地はあるかもしれません。地方税まで含めると、もっと効果は大きくなり、節税効果は1基あたり50万円を超えると思います。
ご参考になれば幸いです。
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